2014年総括。メジャーリーグを揺るがした5つの衝撃 (4ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO


【第2位】 サンフランシスコ・ジャイアンツ、5年間で3度目の世界一

 そのロイヤルズの快進撃を止め、2014年のワールドシリーズを制したのが、ナ・リーグ西地区のサンフランシスコ・ジャイアンツでした。特筆すべきは、過去5年間で3度も世界一に輝いた点でしょう。2012年からワイルドカードの枠がひとつ増えたことで、プレイオフに出場するチャンスは増えました。全30球団のうち10球団、つまり3分の1のチームがポストシーズンに進めるのです。ただ、世界一への道のりも長くなったため、頂点を極めるのはさらに難しくなったとも言えます。

 今年のジャイアンツは、まさにそれを経験しました。まず、ワイルドカードゲームでピッツバーグ・パイレーツを下し、ディビジョンシリーズではワシントン・ナショナルズを3勝1敗で退け、リーグチャンピオンシップシリーズでセントルイス・カージナルスを4勝1敗で破り、そしてワールドシリーズを4勝3敗で制したのです。ジャイアンツはワールドチャンピオンになるまでに、なんとポストシーズンで計17試合も戦いました。

 1958年、ニューヨークからサンフランシスコに本拠地を移転してきた当初のジャイアンツは、人気・実力ともに低迷していました。勝ち星は増えず、スタンドはいつも閑古鳥が鳴いており、一時期はカナダに身売りするという話も挙がったほどです。それが時を経て、2010年に球団史上56年ぶりの頂点を掴み取ると、そこから強豪チームへと生まれ変わり、ここ5年間で3度の世界一。個人的には、レッドソックスが「バンビーノの呪い」を解いたぐらいの衝撃です。

【第1位】 偉大なるキャプテン、デレク・ジーターが現役を引退

 ヤンキースひと筋20年――。デレク・ジーターが現役最後のシーズンを終えました。1995年にメジャーデビューし、ワールドチャンピオンに輝くこと5回。最終年を世界一で飾れなかったのは残念ですが、9月25日、本拠地ヤンキースタジアムでのホーム最終戦で、ジーターは見せてくれました。5対5で迎えた9回裏、1アウト二塁の場面でバッターボックスに立つと、ジーターらしい流し打ちでライト前に放ち、劇的なサヨナラヒットで締めくくったのです。この感動的な幕切れには、「さすがは偉大なるキャプテン」とうならざるを得ませんでした。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る