【MLB】C・カーショウの「投手3冠」を阻むのは誰だ? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 2009年に「ドラフト史上最高の投手」という触れ込みでナショナルズに入団し、2010年6月8日のデビュー戦では14奪三振で初勝利。その後も剛速球で三振を奪いまくり、全米に大旋風を巻き起こしました。しかし、その年の8月に右ひじを痛めてトミー・ジョン手術を受け、リハビリに約1年間を費やすことに......。2012年は開幕から先発ローテーション入りし、15勝(6敗)を挙げてカムバックするも、球団が設けた投球回数の制限(160イニング以内)によって、ポストシーズンで投げることはできませんでした。

 2013年は8勝9敗と不本意な成績に終わり、ストラスバーグのニュースはあまり日本に届かなくなりました。ただ、今シーズンはようやくフル回転の働きを見せ、コンスタントに成績を残しているのです。現在、183イニングを投げて11勝10敗・防御率3.49。決して派手な活躍をしているわけではありませんが、ナショナルズの強力投手陣のエースとして君臨しています。

 今シーズンのストラスバーグの武器は、磨きのかかったチェンジアップです。デビュー当時のように100マイル(約160.9キロ)を連発しませんが、150キロ台の速球にチェンジアップを織り交ぜた成熟したピッチングが、今の安定感につながっているのだと思います。

 その結果、奪三振数210個はリーグ1位。また、1試合平均10.33奪三振・1.97与四球という素晴らしい数字を残しています。両リーグで1試合平均「10奪三振以上・2与四球未満」を記録しているのは、ドジャースのカーショウと、シカゴ・ホワイトソックスのクリス・セールの3人しかいません。2度のサイ・ヤング賞に輝いたカーショウの投手3冠を阻む可能性が一番高いのは、奪三振数でトップを走るストラスバーグではないでしょうか。全米を騒がせた未完の大器が個人タイトルを手にするのも、時間の問題だと思います。

 一方、ナ・リーグの打者で初の個人タイトルを獲得しそうなのは、マイアミ・マーリンズのジャンカルロ・スタントンです。2010年6月、マーリンズ史上2番目に若い20歳212日でメジャーデビューを果たしたスタントンは、若い時期からチームの主砲としてコンスタントに成績を残してきました。2010年=22本塁打・59打点、2011年=34本塁打・87打点、2012年=37本塁打・86打点、2013年=24本塁打・62打点――。弱小チームに在籍しながら、毎年個人タイトル争いで上位に名を連ねているのです。ただ、「メジャーナンバー1の長距離砲」と呼ばれながらも、個人タイトルを手にするまでには至りませんでした。

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