快進撃を続ける田中将大。「ルーキー20勝」の可能性 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 ただ、1920年代以降になると、ルーキー20勝投手が誕生する間隔は、少しずつ空いてきます。5人目は1929年、インディアンスのウェス・フェレル(1927年~1941年/通算193勝128敗)という右投手です。デビューは1927年でしたが、新人資格のある1929年に21勝10敗をマーク。それ以来、4年連続で20勝・100奪三振以上を記録し、インディアンスのエースとして君臨しました。

 そして1937年には、ボストン(現アトランタ)・ブレーブスからふたりのルーキー20勝投手が誕生します。ひとりはジム・ターナー(1937年~1945年/通算69勝60敗)で、もうひとりはルー・フェッテ(1937年~1945年/通算41勝40敗)という、ともに右投手の新人です。ターナーは20勝11敗、フェッテは20勝10敗を挙げ、史上唯一同じチームからルーキー20勝コンビが誕生しました。

 8人目は1945年、第二次世界大戦が終戦した年です。その年、ボストレン・レッドソックスのブー・フェリス(1945年~1950年/通算65勝30敗)という右腕が21勝10敗をマークし、翌年も25勝6敗、リーグトップの勝率.806という抜群の成績を残しました。そして1950年代に入ると、1953年にセントルイス・カージナルスのハービー・ハディックス(1952年~1963年/通算136勝113敗)という左腕が20勝9敗を記録し、さらに翌年の1954年には、ヤンキースのボブ・グリム(1954年~1962年/通算61勝41敗)という右投手が20勝6敗をマークしてア・リーグ新人王に輝いています。

 そして11人目、「最後のルーキー20勝投手」として歴史に名を残しているのは、シンシナティ・レッズのトム・ブラウニング(1984年~1995年/通算123勝90敗)です。1984年にメジャーデビューを果たし、1985年のルーキーシーズンに38試合に登板して20勝9敗という素晴らしい成績を残しました。しかし、ブラウニングはナ・リーグ新人王に選ばれませんでした。というのもその年は、カージナルスからデビューしたビンス・コールマン(1985年~1997年)が新人メジャー記録となるシーズン110盗塁を決めたからです。

それから昨年までの28年間――、ルーキーで20勝に達した投手はひとりも誕生していません。

 また、ルーキーでなくとも、シーズン20勝を達成する投手は少なくなりました。1900年代初頭は先発投手の登板機会も多く、20勝投手が大勢いた時代です。毎年、両リーグ合わせると15人ほど達成していました。しかし、近年は毎年リーグで1~2名ほど。昨年はデトロイト・タイガースのマックス・シャーザー(21勝3敗)だけでしたし、過去10年間を振り返ると、2006年と2009年にはひとりも20勝投手が誕生しませんでした。

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