人気第1位外野手のヤンキース入団で、イチローはどうなる? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 また、同じようにFA市場で評価を落としている外野手が、カーティス・グランダーソン(32歳/前ニューヨーク・ヤンキース)です。2011年と2012年、グランダーソンは2年連続でホームラン40本以上を記録するなど、ヤンキースに欠かせない主力打者のひとりでした。しかし、2013年はケガで61試合の出場にとどまり、また外野手としての守備力低下も指摘されています。左のパワーヒッターとしての価値はありますが、前出の選手と比べるとワンランク下の評価になっています。

 以上が今オフ、外野手FA選手の人気上位5人ですが、エルズベリーのヤンキース移籍が決定的なので、現在は秋信守の去就に注目が集まっています。特に、秋に熱心なラブコールを送っているのは、テキサス・レンジャーズです。2013年のレンジャーズの外野は、FAとなったクルーズがライトを守っていました。しかし、レンジャーズは右のパワーヒッター(クルーズ)ではなく、右投手に対して高い出塁率を残している外野手を求めているのです。その点、秋は右投手に対してメジャー2位の出塁率.457を残しており、レンジャーズにとってまさにベストな存在。また、2013年シーズンのレンジャーズは、1番・2番の得点数がア・リーグ15チーム中11位だったこともあり、秋の出塁率と走力は非常に魅力的でしょう。

 一方、FA選手を狙うだけでなく、トレードで外野手を獲得しようとする動きも出てきました。パワーヒッターの外野手を求めているシアトル・マリナーズは、FA市場でベルトランやクルーズを狙うだけなく、ロサンゼルス・ドジャースの外野手にも目を付けているようです。現在、ドジャースの外野陣はオールスター級の選手を4人も抱えています。レフトのカール・クロフォード、センターのマット・ケンプ、そしてライトのアンドレ・イーシアー、それに加えて今年6月にデビューしたヤシエル・プイグもいるのです。その中でトレード候補として挙がっているのは、センターを守るケンプです。2011年には本塁打王と打点王に輝き、かつては「ドジャースの顔」と言われていました。しかし、2013年は成績を大きく落としたことで、トレード話が水面下で動いているようです。

 このようにFA市場の動きと同時進行で、各チームはトレード話を進めています。そんな中、今、最も気になるのは、エルズベリーと合意したヤンキースの動向でしょう。2013年シーズン、エルズベリーは1番打者としてア・リーグ最多となる172安打をマークし、52盗塁で自身3度目となる盗塁王にも輝きました。しかも52盗塁に対して、失敗はたったの4個。これは、1951年に盗塁成功率というデータを収集し始めて以降、50盗塁以上を記録した選手の中でメジャー史上最高の成功率なんです。まだ30歳と若いため、高齢化に悩むヤンキースにとって最高の外野手を手に入れたと言えるでしょう。

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