MLBポストシーズン開幕。10球団のキーマン10人 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by Getty Images

 一方、中地区を制したデトロイト・タイガースで注目したいのは、5番・DHのビクター・マルティネス(打率.301・14本塁打・83打点)です。昨年、タイガースはワールドシリーズでサンフランシスコ・ジャイアンツに0勝4敗の完敗を喫しました。その敗因のひとつは、明らかに得点力不足です。というのもタイガースは、3番ミゲル・カブレラ、4番プリンス・フィルダーの最強コンビを擁しながら、5番のマルティネスをケガで欠いていました。その結果、ワールドシリーズ4試合で合計6点しか奪えず、1984年以来となる世界一に輝くことができなかったのです。しかし、今年のマルティネスはシーズンを通して活躍し、特にオールスター以降はア・リーグトップの打率(.361)と安打数(91本)をマーク。よって今プレイオフは、カブレラとフィルダーの後ろに控えるマルティネスがカギを握っていると思います。

 西地区優勝を果たしたオークランド・アスレチックスからは、ジョシュ・ドナルドソン(打率.301・24本塁打・93打点)という27歳の三塁手をピックアップしたいと思います。ドナルドソンはレギュラー1年目でありながら、2番から6番まで様々な打順で結果を残し、今シーズンのア・リーグMVP候補に挙がっているほどです。奇しくも今シーズン、西武ライオンズから入団した中島裕之選手が3Aから昇格できなかったのは、三塁にいるドナルドソンの活躍があったからです。個人タイトル争いには絡んでいませんが、打率や出塁率など多くの打撃部門でリーグ上位の成績を残しています。そして特筆すべきは、WAR(※)の値でしょう。WAR8.00という数字は、メジャー全体2位の記録です。短期決戦のプレイオフでは、ドナルドソンが試合を決めるバッティングを見せてくれるのではないでしょうか。

(※)WAR=各ポジションの平均選手と比べ、その選手がどのぐらいチームの勝利数を上積みしたかという指標。平均的な選手は『WAR=2.0』。

 そしてワイルドカード・プレイオフで戦うことになる2チームからも注目キーマンを紹介しましょう。まず、ワイルドカード1位のクリーブランド・インディアンスは、先発のウバルド・ヒメネス(13勝9敗・防御率3.30)です。コロラド・ロッキーズ時代はエースとして活躍し、2010年にはオールスターの先発投手にも選出。しかしその後、スランプに陥り、インディアンス移籍後はジャスティン・マスターソンに次ぐ先発2番手というポジションでした。ところが、今シーズンはオールスター以降、先発13試合で6勝5敗ながら、リーグトップの防御率1.82をマーク。しかも、9月に入ってマスターソンが故障者リスト入りしたので、完全なるエースとなりました。ロッキーズ時代の2010年に19勝を挙げて大旋風を巻き起こしたときのピッチングに戻ってきましたので注目です。

対するワイルドカード2位のタンパベイ・レイズは、22歳の新人ウィル・マイヤーズ(打率.295・13本塁打・53打点)です。今年6月にメジャーデビューを果たすと、同時にチームが快進撃。マイヤーズがスタメンに名を連ねて、かつヒットを打った試合は、43勝19敗という高い勝率を残し、また1試合平均4.40得点と高い数字も残しています。レイズはもともと投手力に支えられたチームで、あまり得点力はありません。しかしマイヤーズが先発出場すると、チーム全体が一気に波に乗って打ちまくるのです。マイヤーズがプレイオフでヒットを打つかどうか、ぜひチェックしておいてください。

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