トレード期限終了。補強に成功したチーム、失敗したチームとは? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
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 さらにタイガースは、7月31日にレッドソックスからホセ・イグレシアス(打率.323・2本塁打・21打点)というキューバ出身の遊撃手を獲得しています。メジャー3年目の23歳で、今年は三塁手として63試合に出場。巧みなバッティングで打率3割2分以上という好成績を残しています。タイガースにはジョニー・ペラルタという正遊撃手がいるものの、マイアミのクリニックから禁止薬物を提供されていたという問題で、50試合の出場停止処分が決定しました。「将来のゴールドグラブ賞候補」と言われているイグレシアスは、来年以降、ペラルタに代わる守備の要となるでしょう。今回の補強で、タイガースはさらにワールドチャンピオンへ一歩近づいたと思います。

 また、ボルチモア・オリオールズ(ア・リーグ東地区3位)も、この夏のトレードで成功したチームではないでしょうか。7月2日、シカゴ・カブス(ナ・リーグ中地区4位)からスコット・フェルドマン(9勝9敗・防御率4.10)という先発投手を獲得。2009年のテキサス・レンジャーズ時代に17勝を挙げた実績ある右腕を手に入れました。さらに7月31日には、今季アストロズで開幕投手を務めたバド・ノリス(7勝9敗・防御率3.89)の獲得にも成功しています。このふたりの先発投手を加えられたのは、非常に大きいでしょう。というのも今シーズンのオリオールズは、スターターに12人の投手を起用するほど、先発陣に頭を抱えていました。フェルドマンやノリスの加入によって、安定した戦いができると思います。

 さらにオリオールズは、7月23日、ミルウォーキー・ブルワーズ(ナ・リーグ中地区5位)から、「K・ロッド」ことフランシスコ・ロドリゲス(29試合・1勝1敗10セーブ・防御率2.20)を獲得しました。2008年のロサンゼルス・エンゼルス時代にメジャー記録となる年間62セーブを挙げたK・ロッドは、今シーズン、ブルワーズの守護神として復活。史上25人目となる通算300セーブを達成しました。オリオールズにはジム・ジョンソンという昨年のセーブ王がいますので、K・ロッドは中継ぎとして起用されるでしょう。先発、リリーフともに補強できたのが良かったと思います。

 レッドソックス、タイガース、そしてオリオールズと、ア・リーグのチームばかりピックアップしましたが、ナ・リーグでトレードを成功させたチームは、ロサンゼルス・ドジャース(ナ・リーグ西地区1位)ではないでしょうか。7月6日、マイアミ・マーリンズ(同東地区5位)から5年連続ふたケタ勝利のリッキー・ノラスコ(7勝9敗・防御率3.78)を獲得。その結果、クレイトン・カーショウ、ザック・グレインキー、柳賢振、そしてノラスコと、ようやく先発投手が4枚揃いました。シーズン前半は故障者続出で低迷していましたが、ついにリーグ制覇に向けて準備が整ったと思います。

 一方、今回のトレード期間で失敗したと思われるチームも紹介しましょう。まずは、ダルビッシュ有投手の所属するテキサス・レンジャーズ(ア・リーグ西地区2位)です。7月22日、カブスからマット・ガーザ(7勝2敗・防御率3.09)という先発投手を獲得。2008年のタンパベイ・レイズ時代、ア・リーグのチャンピオンシップシリーズでMVPに輝いた右腕です。先発投手が次々と故障し、戦力が低下していたレンジャーズにとって、これは大きな補強でした。

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