【MLB】史上最高のクローザー、M・リベラが愛される理由 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by REUTERS/AFLO

 3月9日にヤンキースはリベラが引退表明をする場を設けた。時間は午前10時、いつもなら練習が始まる時間だったが、リベラが家族とともにひな壇に現れると、その後から次々と選手たちも会見場に入ってきた。96年以降、ヤンキースの黄金時代をともに築いてきたジーターやアンディ・ぺティットは当然のこと、キャンプに参加していた全選手が足を運び、リベラの言葉に耳を傾けていた。

 ジョー・ジラルディ監督は、「もう1年、彼の投球を見られることに感謝している。(現役時代に)キャッチャーとしても、監督としても彼がマウンドにいる時は安心していられた」と賛辞を送った。

 もちろん、会見の場にはイチローと黒田博樹の姿もあった。

 イチローが「みんな快くあの場所に足を運ぶということが、彼の人間性を示していると思う」と感嘆すれば、黒田は投手陣としてリベラの存在感の大きさを口にした。

「ペティットにしろ、リベラにしろ、ピッチャーのリーダーが落ち着いていれば、チームの雰囲気は当然落ち着いてくる。リベラの背中を見ているだけで、若い選手たちの野球に対する姿勢が変わってくる。そういうものを彼から感じてきました」

 選手からこれだけリスペクトを受けるリベラは、超一流の中の超一流であると再認識した瞬間だった。今シーズン限りでの引退は寂しい限りだが、今は残り少ない最高峰のピッチングを堪能したい。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る