【MLB】ウインターミーティング・レポート。ジョシュ・ハミルトンの行方は? (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty images

 期間中、大物選手の交渉成立の動きはなかったが、ウインターミーティング終了の翌々日、FAの先発投手市場の目玉であったザック・グレインキー(29歳)とドジャースが6年総額1億4700万ドル(約117億6000万円)で契約を交わした。

 この契約は先発投手としては、2008年オフにC.C.サバシアがヤンキースと結んだ7年総額1億6100万ドルに次ぐ2番目の大型契約となったが、単年で計算すると1年平均2300万ドルのサバシアに対し、グレインキーは2450万ドルとなり、史上最高額となった。グレインキーの代理人を務めるケーシー・クロースのこだわりが感じられる内容となった。

 期間中、ドジャースのある関係者は「今の我々にはお金がある」と、グレインキーとの契約締結にある程度の自信を示していたが、ネド・コレッティGMは報道陣に無言を貫いた。最後はレンジャーズとの一騎打ちになったという情報もあったが、貝になったコレッティGMの緊迫した姿から、交渉が大詰めを迎えていることがうかがえた。

 そして今オフのもうひとりの主役は、レンジャーズからFAとなったジョシュ・ハミルトン(31歳)。じつは、ハミルトンは自らウインターミーティングの場に出向いていた。残留交渉を行なったレンジャーズのロン・ワシントン監督が、ハミルトンの狙いを次のように説明する。

「ジョシュはナッシュビルまでわざわざやって来た。我々は彼の残留を希望する限りだが、他球団も彼の獲得に強い意欲を見せている。彼も代理人任せではなく、彼自身が顔をつき合わせ、肌で感じたい部分があるのだろう。それはとれもいいことだと思う。特に、彼にとってはね」

 アルコール依存症や薬物使用の前歴があるハミルトンは、安定した精神状態を保つことがパフォーマンスに大きく影響してくる。チーム首脳陣の期待、評価を自分自身で感じたかったのだろう。

 ハミルトンをめぐってはレンジャーズの他にマリナーズが興味を示しており、ここに来てこのオフは大型契約を差し控えるはずだったヤンキースも関心を示した。7年総額1億5000万ドル(約120億円)を希望するハミルトンに対し、レンジャーズは5年総額1億ドル(約80億円)、マリナーズは3年総額7500万ドル(約60億円)の提示と聞く。今後のハミルトンの決断が来季のア・リーグ勢力図に大きな影響を及ぼすことは間違いない。

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