【MLB】川崎宗則が示す、これからの日本人メジャーに必要な英語力 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

「僕らは野球をしに来ている。野球に集中するために通訳は必要」

 ある選手が言っていたように、これが一般的な言い分であろう。この気持ちは理解できるし、右も左もわからない移籍1年目の選手に通訳を付けるなとは言わない。しかし、いつまでたっても通訳を介しているのでは、真のコミュニケーションは成り立たない。事実、現場でよく耳にする首脳陣の声がある。

「通訳を通しているから、アイツの考えている真意がわからない」

 その一方で、選手たちからよく聞く言葉がある。

「自分の英語力では真意が伝えられない。だから通訳は必要です」

 コミュニケーションを最も必要とする両者から聞こえてくる、相反する言葉。昨今、日本人メジャーリーガーが苦しむ大きな要因がここにあるのではないだろうか。

 昔から日本で大成する外国人選手は、日本の文化を受け入れ、日本に馴染もうとする選手が圧倒的に多かった。そして彼らに共通していたのは、うまくなくても日本語でコミュニケーションを取ろうとした、その心だった。ウォーレン・クロマティ、タフィー・ローズ、オレステス・デストラーデ、アレックス・ラミレスらがそうだ。

 また、メジャーに移籍した日本人選手では田口壮がそうだった。彼には通訳がいなかった。監督、選手、メディアに対しても、自分の言葉で、英語で会話をしていた。その結果、特別扱いを受けることもなく、彼はセントルイスで本当に愛された。

 川崎も専属通訳は付けていない。

 選手としてのパフォーマンスはもちろん重要だが、日本人メジャーリーガーの新時代に向けてのキーポイントは、英語でのコミュニケーションだろう。だからこそ、川崎のこの言葉が心に残り、今後の彼の活躍をますます期待したくなった。

"My English isn't good now."

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