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【プロ野球】「世代最速」と「スーパー中学生」はなぜプロの世界で苦しんだのか 風間球打と森木大智が語った4年間の真実 (3ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu

かつて「スーパー中学生」と騒がれた森木大智 photo by Nishida Taisukeかつて「スーパー中学生」と騒がれた森木大智 photo by Nishida Taisukeこの記事に関連する写真を見る

【自分にはまだまだ伸びしろがある】

 続いて、森木が深々と一礼してマウンドへと向かった。安芸で秋季キャンプ中の阪神ドラフト同期の高卒組、前川右京と中川勇斗から「高知までミットの音が響くくらい、ブチ投げてこい!」と激励を受け、その言葉に背中を押されたのか、先頭の広島・松山竜平に投じた初球は149キロのストレート。見事に決まり、会場をどよめかせた。

 しかし続く2球目の高めをセンター前へ運ばれると、川原田純平にはフォアボール。3人目の山足達也はショートゴロに打ち取り、森木は2カ月ぶりとなる実戦のマウンドを終えた。

「多少緊張はしましたけど、久しぶりの実戦を楽しむことができました。シーズン中は制球面があまりよくなかったので、今日はゾーンで勝負できたこと、そして新球のツーシームを見せられたことがよかったです。まだまだ改善点はあると思いますが、その中でも自分らしさは出せたと思っています」

 結果こそ1安打1四球と振るわなかったが、この日は持ち味である力強いストレートだけでなく、シーズン後のキャッチボール中に「すごく動いたので使えると思って」習得したという新球・ツーシームもコーナーに決め、器用な一面も見せた。

「やっぱり僕の持ち味は、真っすぐの強さで押していくところです。(トライアウトでは)真っすぐの質や制球力が見られると思っていたので、その部分を見直すため、この1カ月はキャッチボールからしっかり取り組んできました。シーズン中よりいい姿を見せたかったし、少しでも成長した姿を示せるように。そんな強い思いを持ちながら今日まで過ごしてきました」

 やはり、森木の真っすぐは魅力的だ。プロに入ってからの4年間は思うような結果を残すことができなかったが、それでもいまだ自分のなかに眠ったままの力を信じているという。

「自分にはまだまだ伸びしろがあることを、あらためて感じています。今日の投球は、自分の出力からすると30%くらいしか出せていませんでした。制球面で少し苦しんだこともあって、マックスの力を出しきれなかったし、体の使い方や配球など、野球の面で自分が考えていることを全然表現できなかった。もっと自分を開放して、自分の上限であり、限界を見てみたい」

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