【高校野球】れいめい劇的勝利で45年ぶり決勝進出 左腕エース・伊藤大晟が11奪三振の快投でドラフト戦線に急浮上 (2ページ目)
【冬場のトレーニングで下半身強化】
なぜ、これほどの投手が、今夏まで大きく騒がれなかったのか。
それは、れいめいの戦績が芳しくなかったという背景がある。昨秋の県大会はベスト8に進出したものの、伊藤が「自分のせいで負けた」と振り返るように制球難から国分中央に5対6で敗戦。今春に入ると、県大会1回戦で尚志館に5対6で敗戦。夏の前哨戦と位置づけられる県選抜大会では、2回戦で鹿屋中央に1対6で敗れている。
ただし、伊藤自身は冬場の期間に確かな手応えをつかんでいたという。
「ランメニューを死ぬくらいやって下半身を強化しました。投手陣で『負けるなよ』と励まし合ったことが、成長につながったと感じます。本当にきつくて、逃げ出そうと思ったくらいなんですけど。ほかのピッチャーも頑張っていたので、自分も最後までやり抜けました。春になると、コントロールがよくなっていました」
そして、冬場には自身の考え方を根底から変える出来事もあったという。
「キャッチャーをやっていた谷口(知希/現在は遊撃手)や宮下(遼大)から、自分の悪いところを指摘してもらったんです。自分ひとりで野球をやっていて、周りが見えていないと。厳しく言ってもらったことで、自分の足りないことに気づけました。ふたりには感謝しています」
れいめいの湯田太監督は、入学前から最速134キロを計測した伊藤に対して「すでに高い出力を持っていた」と評価していた。この3年間をとおして、伊藤は徐々に投手らしくなっていったという。
「コントロールやゲームのつくり方はまだまだでしたが、練習試合など経験を積むことで成長していきました。エースとしてもともと責任感を持っている子でしたが、今までは空回りしてしまっていて。でも、今ではチームのために1球1球投げられるようになってきました。まだ成長段階ではありますが、彼の成長が今夏の活躍につながっています」
鹿児島実戦で伊藤は11三振を奪っているが、終始頭にあったのは「仲間を信用して、打たせて取ろう」という考えだった。試合終盤には100キロ台のカーブを多投して、打者の目線を変える投球を展開。8回には三者連続三振を奪っている。
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