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【高校野球】れいめい劇的勝利で45年ぶり決勝進出 左腕エース・伊藤大晟が11奪三振の快投でドラフト戦線に急浮上 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 6回から8回までは打者9人で片づけ、6三振と完璧な投球を見せている。だが、快投の裏には、アクシデントが起きていた。伊藤が内幕を明かす。

「足がつっていました。右足の前・後ろの太もも、左足のふくらはぎです。自分が抑えないと流れがこないと思っていたので、投げ続けました。でも、それまでは力んでいたのが、逆に力が抜けてよかったのかもしれません。下半身をうまく使って、投げられました」

【王者・神村学園に挑む】

 伊藤は大分県で育ち、福岡県のクラブチームでプレーしている。鹿児島県のれいめいに進学したのは、「仲のいい先輩がいたのと、とにかく練習の雰囲気がよかったから」という理由だった。

 れいめいが鹿児島大会決勝に進出したのは、じつに45年ぶり。前回は旧校名・川内実として決勝に初進出し、甲子園初出場を決めている。同校にとっては、これが最初で最後の甲子園出場になっている。

 決勝戦の対戦相手は、神村学園。今春の九州大会チャンピオンであり、今夏は大会3連覇がかかっている強敵だ。ドラフト候補の早瀬朔、今岡拓夢を擁し、選手層も厚い。準決勝では樟南との延長12回タイブレークにもつれる死闘を制し、ますますたくましさを増している。

 それでも、伊藤は決勝戦に向けてこんな抱負を語った。

「今までどおり何も変わらずに、チャレンジャーとして自分たちの野球をやるだけです。神村学園が相手といっても、力は変わらないと思っています。一歩も引かずに戦いたいです」

 伊藤は今秋にかけて、プロ志望届を提出する見込みだという。もし、甲子園に出場できれば、その才能をアピールできるチャンスは格段に増す。

 九州に出現した稀代のサウスポーは、新たな扉をこじ開けるのか。神村学園とれいめいの鹿児島大会決勝戦は、26日に平和リース球場で開催される予定だ。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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