星稜高校で奥川恭伸を見て育った男がドラフト戦線に急浮上 日体大・寺西成騎が本格化 (3ページ目)
4月に入ってから痛みなく投げられるようになったが、寺西を欠いたチームは開幕6連敗と低空飛行を続けていた。リーグ優勝どころか、最下位を争う苦境。寺西は4月28日の桜美林大戦で復帰し、5月5日の城西大戦では先発登板。5回1安打無失点と上々の結果を残している。チームは4連勝と巻き返し、なんとか最下位を回避した。
まだ潜在能力の底は見えていない。それだけにもどかしさも募るが、近未来への夢は無限に広がる。寺西は自身の可能性について、こう語っている。
「今までいろんな指導者の方々から『ポテンシャルが高い』と言われてきて、大学に入って練習の質が変わって顕著に成長に表われていると感じます。その流れを止めたくないですし、体だってまだまだ大きくなれると感じています。その意味では、自分で自分に期待しているところは大きいですね」
大学日本代表の首脳陣も、寺西の可能性に大きな期待を抱いたのだろう。6月24日に発表された大学日本代表24選手のなかに、寺西の名前があった。
7月にヨーロッパを転戦したプラハベースボールウィーク(チェコ)、ハーレム・ベースボールウィーク(オランダ)では、寺西は2試合に先発登板。計11回を投げて4失点とまずまずの内容で優勝に貢献している。
国際舞台での経験が、寺西成騎という大器にどんな成長をもたらしたのか。その進化の過程はドラフト戦線にも大きな影響を及ぼすはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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