高校野球「古豪復活」までの道程 春の神奈川の王者・武相は夏を制することができるか? (2ページ目)
【4年前の8月に武相の監督に就任】
2020年8月、その実績が高く評価され母校である武相の監督として招聘された。
そんな豊田監督を支えているのが、富士大時代に交流のあった専大北上高の監督だった白濱暁コーチだ。高校の指導者を終えたあと、野球から離れて東京の一般企業で働いていたが、武相・豊田監督誕生とともにコーチとして馳せ参じた。
「まずは豊田監督の考えを、選手たちに浸透させることを一番に考えています。強豪私学に比べると、個々の力にはまだ差があります。春の県大会優勝は、フィジカル面を鍛え上げたことが大きいと感じています。複数の筋トレと有酸素運動を組み合わせて行なうサーキットトレーニングなどを取り入れ、プロテインを摂取し、食べることにも力を入れてきました。打撃面が評価されていますが、低反発バットなので大振りしない、体を開かない、バットの芯でコンタクトするように指導しています。その結果、春の県大会では3回戦から決勝までの5試合すべて10安打以上を打ってくれました」
では、豊田監督はどのようにしてチームづくりをしてきたのか。
「ウチは勝ち慣れていない生徒が多い。でも素直なので、『こうしよう』と言えばやってくれます。焦らず、驕らず、まずはベスト8、ベスト4の壁を越えられるように、お互いに競争意識を持たせ、うまくコントロールしていかなければと思っています。武相がガラッと変わるために、3年で土台をつくり、4、5年目が勝負だと思っていました。そういう意味で、今年は勝負の年です」
さらに続ける。
「ここで監督はこういうことを言うだろうと、怒るときや褒めるときがわかる生徒を9割ほど育てていけば勝負できると思い、自分もある程度計算しながら接してきました。今の3年生はそれを理解してくれているので、成功しているのかと思います。春の県大会で優勝したからといっても、まだまだのチームです。あとは団結力です。スタンドで応援してくれている控え選手たち、OB、保護者、関係者に勢いがあり、目指しているところはひとつなので頑張るしかありません」
56年ぶり甲子園へ。夏の神奈川大会ベスト8をかけ、武相は5回戦で立花学園と対戦する。
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