茨城アストロプラネッツ・大友宗は名門社会人チームを辞め、なぜ「1年勝負」で独立リーグに来たのか? (3ページ目)
「これがサイ・ヤング賞を獲る投手なんだな、と思いました。どのボールでもストライク、空振りが取れるんです。構えたところにきますし、思い描いている"ピッチデザイン"をそのまま体現できるのがすごいと思いました」
まさに、新たな挑戦をしたからこそ得られた刺激だった。
一方で、シビアな現実に引き戻されるときもある。
「ひりついていますね。背水の陣という思いです」
そう語る大友に「一番シビアなことは?」と尋ねると、「やっぱりお金ですね。その心配はあります」と打ち明けた。
手取り額に大きな差はないが、会社員だった昨年までの額は社会保険料や寮費(食費も含む)などが差し引かれたあとの額であり、それを使ったり、貯金したりしていた。しかし、個人事業主となった今はそこからさまざまなものを支払わなくてはならない。
それでも思い返したように、ポジティブな言葉を続ける。
「充実させるしかないですから(笑)。大きな会社を捨てて来ているので、1年間悔いなく楽しんで、やることやって、あとから結果がついてきてくれたらいいなと割りきってやっています」
5カ月前に下した決断に後悔はない。重圧に負けないように、その決断を悔やまぬように、自分らしく輝けるように......。5カ月後のドラフト会議で、その決断が正解だったことを示すべく、大友は試合に出られる喜びを胸にさらなる飛躍を誓う。
著者プロフィール
高木 遊 (たかぎ・ゆう)
1988年生まれ、東京都出身。大学卒業後にライター活動を開始し、学童・中学・高校・大学・社会人・女子から世代別の侍ジャパン、侍ジャパントップチームまでプロアマ問わず幅広く野球を中心に取材。書籍『東農大オホーツク流プロ野球選手の育て方〜氷点下20℃の北の最果てから16人がNPBへ〜』(樋越勉著・日本文芸社)『レミたんのポジティブ思考"逃げられない"な"楽しめ"ばいい!』(土井レミイ杏利著・日本文芸社)『野球で人生は変えられる〜明秀日立・金沢成奉監督の指導論(金沢成奉著・日本文芸社)では、編集・構成を担当している。
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