北の快腕トリオ、152キロ右腕、柳田悠岐2世...地方大会で敗れ去ったプロ注目の逸材たち (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Nikkan sports

 安西は横手に近いスリークオーターから、イキのいい最速148キロの快速球を投げ込む。今夏は2回戦まで10イニング無失点と好調を見せていたが、部内で新型コロナのクラスターが発生したため以降は出場できず。思わぬハプニングに泣かされた。

高校通算50本超えの長距離砲

 捕手では、今春センバツでバックスクリーン弾と鋭いスローイングで一躍ドラフト候補に仲間入りした高山維月(浦和学院)の名前を挙げたい。大会後もスカウト陣の評価はうなぎのぼりで、森大監督は「上位指名もあるかもしれない」と高い期待を口にしていた。だが、今夏の埼玉大会決勝でノーシードの伏兵・聖望学園に0対1で惜敗している。

 内野手では内藤鵬(日本航空石川)、イヒネ・イツア(誉)はドラフト指名が有力視される好素材だ。内藤は高校通算53本塁打をマークした右の大砲ながら、確実性も高い。その知名度とは裏腹に甲子園と無縁の高校生活だったが、最後の夏も石川大会準決勝で敗退した。

 イヒネはナイジェリア人の両親を持ち、スラリと伸びた長い足が印象的なアスリート型遊撃手。身体能力はずば抜けており、走攻守のスケール感は今年の高校生でトップクラスだろう。今夏の愛知大会は初戦から難敵続きの「死のゾーン」に入り、3回戦で西尾東に8対10で敗戦した。なお、内藤もイヒネも中学時代は愛知・東山クラブのチームメイトでもある。

 右の長距離砲が内藤なら、左の長距離砲は西村瑠伊斗(京都外大西)だ。今夏は高校通算54本目となる大会4本塁打に、打率.611と大暴れ。準決勝の龍谷大平安戦では3四球と勝負を避けられ、チームも5対12で涙を呑んだ。とはいえ、力感なく自分の間合いで捉えられる打撃は、今後高いレベルでどこまで伸びるのか楽しみだ。

 外野手では、「柳田悠岐(ソフトバンク)を彷彿とさせる身体能力」と評された古川雄大(佐伯鶴城)の存在が際立った。今夏の大分大会では準決勝進出を果たし、連日スカウトを球場に集めた。確実性はまだ乏しいものの、そのスケールは底知れない。すでに高卒でのプロ志望を明言している。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る