「甲子園にのまれていた」大島高校外野陣にネット上で罵詈雑言。選手は「守るのが怖くなった」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

「青木の負った傷はどうしたって残るし、消えないものだと思います。でも、彼にはそれを受け入れてほしい。甲子園の風や景色の見づらさを言い訳にしてしまうと、進歩はありません。ミスはミスと受け入れ、素直に伸びる選手になってほしいです」

 この言葉には、高校3年時に打撃不振に陥りながら指導者の助言に素直に耳を傾けられなかった泊コーチ自身の悔恨の念もこもっている。

 夏の甲子園に再チャレンジするためにも、青木は必要な戦力だと大島指導陣は感じている。昨秋の県大会では、青木がサヨナラの押し出し死球を受けるなどラッキーボーイとなり勝ち進んだ経緯もある。泊コーチは「最後に運をつかむのが青木という選手なんです」と力を込める。

 青木も高校最後の夏に向けて、前向きさを取り戻しつつある。不安の出てきた視力は、コンタクトレンズを装着して改善を試みている。

 自分自身に言い聞かせるように、「やるしかない」と青木はつぶやいた。

「小学生からやってきた野球も高校で終わるんですけど、下を向いていてもよくないので。あと1〜2カ月、悔いなくやれるように自分でやれることをやっていきます」

 ライトの直江も「センバツはエースの(大野)稼頭央に苦しい思いをさせたので、夏はもう1回甲子園に行ってみんなで勝ちたい」と強く決意を口にした。

 甲子園の借りは甲子園で返すしかない。再び甲子園の天然芝に立つ日まで、大島外野陣の戦いは続いていく。

(つづく)

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