BC茨城の155キロ右腕・ペレズとは何者だ? 4年のブランクを経て日本にやってきたドミニカ出身の29歳にNPBスカウトも注目 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • 写真提供/茨城アストロプラネッツ

 背景にあるのが、独立リーグの置かれた状況だ。同じ名を冠しても、日米でその環境は大きく異なっている。たとえば、赤沼淳平投手が所属するアメリカの独立リーグ球団シャンバーグ・ブーマーズはシカゴ市外に本拠地を置き、観衆6000人を集めることも珍しくないという。専用球場を持つことに加え、スタジアムに行けば友人や知人と一緒にビールを楽しめるという"文化"があるからだ。

 対して日本の独立リーグは公営球場を転々とし、3ケタ台の観衆にとどまることが日常的だ。社会における存在感が極端に小さく、色川GMは一石を投じられないかと考えている。

「アメリカの独立リーグはインフラが整っていることに加え、選手がメジャーリーグにステップアップして有名になっていきます。そうした選手を独立リーグで先に見られるのは、ファンからすれば"永遠の自慢話"になるじゃないですか。僕はGMの立場としてそういう選手を連れてきて地域を盛り上げたい。

 デイビッドが4年間のブランクを経て復帰するのは、日本人選手の勇気にもなると思います。日本は1回失敗したらチャレンジしにくい社会ですが、その中でポジティブに自分の人生をつくっていく姿はうちの選手たちにも大きく影響するはずです。NPBに行けるかはタイミングもあることなのでわかりませんが、うちのチーム、地域、リーグ、そして野球界全体にとっても意味のあることにしていきたい」

NPB入りの可能性は?

 ペレズは選手のキャリアを断念したあと、投手コーチの立場から俯瞰して野球を眺めることで違った視点を手に入れ、ピッチャーとしてレベルアップした。ドミニカのサマーリーグで17歳だった頃は球速90マイル前半(145〜150キロ程度)だったと報じられているが、4年のブランクを経て30歳目前の今は155キロを計測する。

 そうして投手として自身の成長を実感したことが、今回の現役復帰につながった。獲得交渉にあたった色川GMが代弁する。

「デイビッドはコーチをしながら『現役時代にもっとこうしておけばよかった』という後悔のような念もあり、『もう一度、選手として勝負したい』という気持ちを持っていたみたいです。結婚していて子どももいますが、奥さんも含めて応援してくれると。パイレーツのコーチという安定を捨てて、我々の世界にまた飛び込んできてくれました」

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