神奈川の県立に最速147キロ右腕。圧巻の「27イニング57奪三振」をマークした澤田寛太にプロ9球団が熱視線 (2ページ目)

  • 大友良行●文・写真 text & photo by Ohtomo Yoshiyuki

 さらに小山内監督は、澤田の内面も高く評価する。

「性格的に有頂天にならないし、澤田自身、自分のことをすごい投手だとは思っていない。謙虚で、常に前向きで、うまくなろうとする貪欲さが見てとれます。それに人の話をよく聞く。そうしたところは、今後の成長において大きな武器になってくると思います」

スカウトは投打で注目

 澤田が野球を始めたのは小学2年の時。横浜市立鶴見中時代は軟式野球部に所属し、捕手として活躍した。高校進学時に横浜高校など強豪私立の練習見学に行ったが、4人兄妹ということもあり、親に負担はかけたくないと県立の大師高校を選んだ。

 投手を本格的に始めたのは、高校に入ってから。本人の強い希望だったが、入学当初は打撃を高く評価されていたため、マウンドに上がったのは2年春から。力強いストレートを中心にフォーク、シンカー、カーブ、スライダーと多彩。とくに横滑りするスライダーは絶品で、全国レベルと評判だ。

 昨年秋の奪三振数の報道に、年末から今春にかけてすでに9球団のスカウトが複数回グラウンドを訪れているという。

 そのうちのひとり、日本ハムの坂本晃一スカウトは澤田について、次のように語る。

「春季大会は、彼本来のピッチングとはほど遠かった。昨年秋は、即ドラフトされてもおなしくないぐらいの出来だったが、その頃に比べると今は4割ぐらい。原因はコンディショニングでしょう。野球人生には、天王山となる試合がいくつかあります。そこに向けての調整はとても大事なことです。澤田くんは細かいこともできるし、技術的な完成度も高いので、今後どこまで戻してくるか楽しみです」

 ソフトバンクの松本輝スカウトにも印象を聞いてみた。

「昨年の秋に、面白い子がいるとの情報が入ってきました。まだ仕上がっていませんが、ポテンシャルだけでやっているにしてはすごいなと、目を奪われました。器用にいろんな変化球を投げられるし、たまに力を入れて投げるボールが魅力です。それに打撃もいい。打球も速いし、飛距離も出る。とにかく体が大きいし、パワーがあるのは魅力。まだまだ未完成な部分は多いですが、持っているエンジンが大きく、今後の成長が楽しみでなりません」

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