2021.12.14

「世代最強左腕」となるか。夏の甲子園でも活躍した京都国際・森下瑠大が進化中

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 森下のストレートは一塁側・三塁側の両サイドのスタンドから見ると、凄みが伝わりやすい。まるで重力に逆らうかのように、捕手のミットに向かって伸びてくる。本人も「低めに垂れるのではなく、グンと伸びるボールをイメージしています」と語るように、捕手のミットを突き上げる球審の腕が上がりやすい球質だろう。

【強豪・履正社相手に圧巻の11奪三振完封勝利】

 こんな実戦的なストレートを持ちながらも、森下は自身のアピールポイントを別の部分に置いている。

「変化球を低めに集めることができて、フォアボールをあまり出さないコントロールにも自信があります」

 たしかに森下の変化球の精度は高校2年生とは思えない。変化量の大きなスライダーだけでなく、ストレートの軌道から小さく曲がるカットボール。さらに打者のタイミングを外すスローカーブ、チェンジアップと緩急も自在に操る。

 今秋の近畿大会では、初戦で大阪の強豪・履正社と対戦する厳しい組み合わせだった。だが、森下以外にも平野順大、武田侑大、辻井心、岩内琉貴也と夏の甲子園4強レギュラーが残る京都国際は「格上」のような見事な戦いぶりを見せる。序盤の3回裏に1番・武田と3番・平野のタイムリーヒットで2点を先取すると、中盤の6回裏には6番に入った森下のタイムリーヒットで3点目を挙げた。

 そして、森下の投球も安定していた。試合後には「ストレートの調子がよくなかった」と振り返ったが、先発メンバーに左打者を7人揃えた履正社打線に変化球を効果的に振らせた。4回表には無死二塁のピンチを招くも、左打者のクリーンアップを三者連続三振。とくに決め球のカットボールが冴え渡った。

 9回表にも無死からランナーを出したものの、三者連続三振で締めている。11奪三振の完封勝利で、京都国際は翌春センバツ出場へ大きく前進した。森下は試合後、涼しい顔で「全員同級生なので、履正社にユニホーム負けせずに戦えました」と語っている。

 だが、翌日の準々決勝では伏兵の和歌山東に2対3で惜敗。森下は1対3の6回からリリーフして4回無失点に抑え、9回裏には追撃のソロ本塁打を放ったものの、試合巧者の和歌山東にあと一歩及ばなかった。森下は近畿大会通算13イニングを無失点、17三振を奪いながらベスト8での敗退になった。