「世代最強左腕」となるか。夏の甲子園でも活躍した京都国際・森下瑠大が進化中 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

【真っすぐで押せるピッチャーを目指したい】

 来春センバツの選考は難航しそうだが、京都国際は地域性、試合内容、実力の観点から選出される可能性は高いだろう。近畿大会で優勝した大阪桐蔭が明治神宮大会も制し、近畿の選出枠が6校から7校に増えた追い風もある。

 小牧監督は「センバツに選ばれるかはわかりませんが」と言葉を選びながら、冬場の練習についてこう語った。

「選ばれてから準備していては遅いので、選手には『日本一を目指せる練習をしよう』と言っています。量をこなすのはもちろんですが、そのなかで一人ひとりが質を求めていく。それと今の学年は3年生と比べるとチームワークがまだ弱い。例年、冬場は『自分がうまくなればいい』とエゴを出して練習させるんですが、今年は『みんなでうまくなろう』と言いながら練習しています」

 本来なら森下と二枚看板を形成する平野は今秋まで投手としては不振だったが、ここへきて最速145キロをマークするなど調子を取り戻している。小牧監督は二枚看板の切磋琢磨を期待しつつ、森下についてこう語った。

「去年の冬は疲労骨折を治すことに専念させていたので、高校に入って初めて本格的に鍛え込めています。僕はストレートの球速にはまったく興味がないんですが、森下はホームベース上での強さを求めつつ平均球速を上げていけたらと考えています。今は体がバキバキになるくらいいい感じに追い込めているので、春には仕上がってくるんじゃないかと思います」

 森下は「真っすぐで押せるピッチャーを目指したい」と意気込む。もし京都国際が春のセンバツ出場校に選出され、森下がイメージどおりのストレートを甲子園で投げ込めたら......。それは、現時点で「本命不在」と言われるドラフト戦線に、有力な存在が現れることを意味する。

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