2021.07.27

福岡・真颯館の146キロ左腕はプロ注目の逸材。別人のような進化→甲子園まであと1勝

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 伝統的に野球界の「人材供給源」として有名なのは大阪だ。甲子園球場が近いという地の利も手伝ってか、ジュニア世代の野球熱がとにかく高い。甲子園出場選手、プロ野球選手の輩出数は大阪が圧倒的に多い。

 そんななか、近年注目を集める人材供給源が福岡である。福岡の大物中学生が大阪桐蔭(大阪)、浦和学院(埼玉)、明徳義塾(高知)など、他府県の高校に進む例も目立っている。

 福岡の高校野球を見るたびに、その層の厚さに驚かされる。県内ベスト16クラスのチームには、最低ひとりは将来プロ入りを狙えるだけの好素材がいる。ある福岡の指導者に聞くと、「甲子園を確実に狙える常連校が少ないので、戦力が分散するからでしょう」という答えが返ってきた。

 今年の福岡もドラフト候補がひしめいている。投手なら、九州国際大付の山本大揮、柳川大晟のツインタワー。すでに進学希望を表明したものの、ゲームメイク能力が際立つ福岡大大濠の毛利海大。優れた球質がスカウト陣から評価される折尾愛真の稲川竜汰。県内屈指の進学校である福岡高にも、最速149キロをマークする井崎燦志郎がいる。

 野手も高校屈指のスローイング能力を武器にする福岡大大濠の川上陸斗、攻守にエネルギッシュな遊撃手である戸畑の藤野恵音も今年に入ってから脚光を浴びている。

 そんななか、今夏もっとも株を上げたのは真颯館のエース左腕・松本翔(かける)だろう。

最速146キロを誇る真颯館のエース・松本翔最速146キロを誇る真颯館のエース・松本翔  身長178センチ、体重82キロ。最速146キロをマークする松本は、真颯館が現校名(旧校名は九州工業高校)になってから初となる福岡大会決勝進出へと牽引した。

 7月25日、筑陽学園との準決勝で完投勝利を挙げた松本を間近で見て、衝撃を受けた。下半身の筋肉が高校生とは思えないほど厚く、発達していたからだ。

 驚いたのは私だけではなかったようで、別の記者から松本に分厚い下半身について質問が出た。すると、松本は下半身強化に力を入れてきたことを明かした。

「ひとつ5キロの重さのメディシンボールを両手にひとつずつ持って、70段の階段を上り下りするメニューがあるんです。上りは速く、下りはゆっくり。多い日には30往復していました」