阪神・佐藤輝明に似た大物スラッガー。神奈川大のドラフト候補は「ものすごい逸材」

  • 菊地高弘●文・写真 text by Kikuchi Takahiro

 阪神の新人・佐藤輝明の勢いが止まらない。オープン戦では6本塁打、シーズンに入っても5月14日までに10本塁打を記録。新人が入ったというより、強力な新外国人選手が加入したような趣がある。

 佐藤のポテンシャルは大学時代からずば抜けていた。その一方で粗さも目立っただけに、プロ1年目からここまで大爆発するとは想像できなかった。身体能力の高さ、バットを力強く振れることの大切さを感じずにはいられない。

 そして今年の大学球界にも身体能力が高く、バットを強く振れるドラフト候補がいる。神奈川大の外野手・梶原昂希(かじわら・こうき)である。

神奈川大の大型スラッガー・梶原昂希神奈川大の大型スラッガー・梶原昂希 3年前、神奈川大学のリーグ戦で当時1年生だった梶原を初めて目撃した時の衝撃が忘れられない。身長189センチ、体重85キロの大きな体。ボールがバットに当たってから一段と勢いを増すような、雄大なフォロースルー。ストライドの広い、ダイナミックなベースランニング。間違いなく好素材だと確信できた。

 その試合後、神奈川大の岸川雄二監督に梶原について尋ねると、真剣な表情でこんな答えが返ってきた。

「あいつがプロに行けなかったら僕のせい。それくらいの選手だと思っています」

 梶原は大分の公立高・大分雄城台でプレーしていた。岸川監督はかつて大分で九州総合スポーツカレッジ野球部の監督を務めた地縁があり、早くから「雄城台に体の大きな選手がいる」と情報を得ていた。

「高校3年生に上がる前の2月くらいに『足は速い。でも野球は下手な選手がいる』と聞いていました。実際に見に行ったら、打球の質にビックリしました。ライナーやゴロではなく、必ずフライを打つんです。センターから左中間に向かって、ポンポン打ち込む姿を見て、『こいつ、すげぇな』と。いつもニコニコしていたのも印象的でしたね。育ててみたいと思って、4~5回は大分に通いました」

 梶原が進路を神奈川大に決めた後、その存在に気づいた6球団のNPBスカウトが岸川監督に電話してきた。

「やられたよ」

「そうでしょう?」

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