2020.09.14

巨人がドラフト1位で狙うスラッガー。
謎の自信が本物に近づいている

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

大学野球のドラフト「隠し玉」たち>>

 早く、この打者のスイングをひとりでも多くの野球ファンに見てもらいたい──。

 近畿大の佐藤輝明を見るたびに、そう思わずにはいられない。身長187センチ、体重94キロの雄大な体躯でボールを待ち構え、空にバットを突き刺すようなフォロースルー。初めて目の当たりにすれば、驚きを通り越して笑ってしまう。そんな豪快なスイングを見せてくれるのだ。

プロ注目のスラッガー、近畿大の佐藤輝明 8月28日、巨人の大塚淳弘球団副代表・編成担当が今秋ドラフト会議で即戦力の野手を1位指名することを明言した。複数のメディアは、その有力候補が佐藤であると報じた。

 人気球団のドラフト1位報道が出れば、当然周囲は騒がしくなる。だが、当の本人は心の揺らぎをまるで見せずに日々を過ごしている。

「確定したわけじゃないですし、別に気にしたところでいいプレーができるわけじゃないですから。頭にあるのは、自分が打って、チームが勝つことだけです」

 佐藤について、「糸井嘉男(阪神)2世」というキャッチフレーズで紹介するメディアもある。近畿大の大先輩だけに佐藤は「そう書いてくれるのはありがたい」としながらも、「とくに気にしていないです」とどこ吹く風だ。

 佐藤という選手は、他者からの評価にあまり関心がないのではないか。本人に聞いてみると、「あんまり気にならないですね」という予想どおりの答えが返ってきた。

「周りの人にすごいと言われるために打ってるわけじゃないですから」

 佐藤には、無責任な第三者が煽り立てても動じない芯の強さがある。

 そもそも、「糸井2世」というフレーズが的を射ているかといえば、疑問が残る。たしかに佐藤は身体能力が高く、走攻守の三拍子がそろった選手だ。だが、三拍子のなかでも「攻」の魅力が突出しているように感じられる。

「ホームランを打ちたいと思ってやってきたのは、小学生の頃からですね。最初は小学4〜5年生くらいから体が大きくなるにつれて打てたので、気持ちよかったんです」