2020.06.10

大会の主役・オコエ瑠偉をNo.1左腕・
小笠原慎之介は「石直球」で料理した

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

吉田凌との二枚看板でチームを日本一に導いた東海大相模の小笠原慎之介 遊学館(石川)との3回戦は、先発して8回を2失点。この夏、初めて自責点を記録したが、小笠原は納得の表情だった。その理由は、春の関東大会での浦和学院(埼玉)戦にある。

 完投しながらも0対4で敗れ、「完投を意識してペース配分した結果、テンポが悪く、野手が乗れなかった」と、この試合をきっかけにリズムのある投球をテーマに取り組んできた。遊学館戦の小笠原は114球を投げて6安打を許したが無四球(死球は1)。打線もリズムに乗り、11点の援護をくれた。

 花咲徳栄(埼玉)との準々決勝は、吉田が3失点した4回途中からロング救援で2安打無失点。チームのサヨナラ勝ちを呼び込む気迫の投球を見せた。先発した吉田は「小笠原を休ませるために完投したかった」と号泣したが、小笠原は「吉田がいたから今の自分がいる。吉田が投げている時も、自分がマウンドにいるつもりでした。やっとエースらしいピッチングができた」と胸を張った。

 そして、同じく吉田をリリーフした準決勝でのオコエとの対戦である。この日の小笠原の調子は決してよくはなかった。不運な当たりもあったが、3安打で2点を奪われた。ましてオコエは「関東一高で最も警戒する存在」(小笠原)である。それでも「VTRを見て、勝算はあります」と強気だった。

 初球、オコエの苦手な内角に131キロのスライダーで空振り。そして2球目、147キロの真っすぐを弾き返した打球はセカンドの左へ。いくら俊足とはいえ、平凡な内野ゴロではさすがのオコエも一塁アウトとなった。