大谷翔平のほろ苦い甲子園デビュー。150キロ計測も帝京4番松本剛に決勝打

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Kyodo News、Ohtomo Yoshiyuki

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こんな対決あったのか!
高校野球レア勝負@甲子園
第5回 2011年夏
大谷翔平(花巻東)×松本剛(帝京)

 2011年夏、第93回全国高等学校野球選手権大会1回戦の花巻東と帝京の一戦。右翼手として先発出場していた花巻東の2年生エース・大谷翔平(現・エンゼルス)が、黄色のグラブに持ち替えマウンドに上がったのは4回表。点差を広げられ、なおも一死一、三塁とピンチが続く場面だった。大谷の投手としての甲子園デビューに球場が沸いた。

大谷翔平にとってほろ苦い甲子園デビューとなった大谷翔平にとってほろ苦い甲子園デビューとなった この大舞台で初めて対戦する打者は帝京の4番打者であり、右の強打者としてプロから熱視線を浴びていた松本剛(現・日本ハム)だった。

 その初球、148キロのストレートをとらえた打球はライトへの犠飛となり、帝京に貴重な追加点が入った。その後も大谷は連続四球と暴投などで二死満塁のピンチを招くが、なんとかしのいで松本の犠飛による1点だけに抑える。

 5回表には150キロを記録し、2005年夏に駒大苫小牧の田中将大(現・ヤンキース)がマークした2年生投手としての甲子園最速記録に並んだ。しかし、大谷の顔が晴れることはなかった。

 大谷は岩手県大会直前の練習試合で左足に違和感を覚えた。患部の痛みは肉離れによるものだと思われていたが、甲子園後の検査で骨端線損傷という大きなケガだったことが判明。いずれにしても、帝京戦での大谷は万全な状態ではなかった。

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