日体大で本気で二刀流に挑む逸材。指名漏れも2年後を見据え肉体改造中 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 2018年には松本、東妻勇輔(ロッテ)が、2019年には吉田大喜(ヤクルト)がプロに進み、今年は森博人がドラフト上位指名候補に挙がる。矢澤を含めて、全員175センチ前後の大型とは言えない投手である。そんな先輩たちを見ながら、矢澤は筋力の重要性を肌で感じてきた。

 現在は体重69キロまで増量。とはいえ、「筋力をつけることも大事ですが、それを動かせるようにしないと意味がない」と身体操作へのこだわりは持ち続けている。

 高校時代にドラフト会議で指名されなかったことは、不幸なことには違いない。だが、順調なステップを歩む今の矢澤の姿を見ると、日本体育大に進学したことは結果的に幸福な進路になったような気がしてならない。

 そんな印象を本人に伝えると、矢澤は「僕もそんな気がします」と答えた。

「今をどう生きるかももちろん大事ですが、4年後のためにどうあるべきかを考えて、どう過ごすかがとても大事だと思います。大学はその計画が立てやすいので」

 寮生活では夕食に1時間半から2時間かけて食事に取り組む。たとえ試合前であっても、矢澤は辻コーチからこう言われるそうだ。

「今のために調整するのか、2年後のためにご飯を食べるのか?」

 矢澤の大学生活は2年目に突入したばかり。それは、野球ファンにとって逸材の成長を見守る時間がまだまだ残されていることを意味する。

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