奥川恭伸が抜けても星稜は強い。守より攻の強力打線で全国制覇を狙う (2ページ目)

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki
  • photo by Yo Nobuyuki

 実戦は少なくても萩原、寺西のダブルエースは計算ができるし、そこに全国レベルの打線が加われば......秋の石川大会5試合で挙げた得点46に対し、失点はわずか4と、別格の強さを見せつけた。

 北信越大会でも、高岡第一(富山)との初戦は萩原が13奪三振の好投で5-3と勝利すると、敦賀(福井)との準々決勝は10-2の7回コールド勝ち。佐久長聖(長野)との準決勝も10-3(7回コールド)と圧倒し、決勝も大勝。正真正銘の"打ち勝つ"チームが完成した。

「打線は明らかに、去年の同時期よりも上」と林監督も手応えを感じている。

 きっかけとなったのは8月末、健大高崎(群馬)との練習試合にあった。内山が言う。

「相手の左の好投手に苦しんで負けたんです。ああいう投手を打たないと、全国では勝てないという物差しになりました」

 それからは、各々が対応力に磨きをかけた。たとえば、北信越大会決勝で2本塁打を放った花牟禮優(はなむれ・ゆう)は、「変化球に崩されないように、膝もとの緩い球をイメージして」とティー打撃を繰り返した。

 その結果、「秋はどうしても、相手投手の変化球に対応しきれないところがあり、たとえば知田などは、変化球で崩されているんですがヒットにできています。あれが大きい」と林監督も認める強力打線が生まれた。

 この優勝で、星稜はチーム最多に並ぶ5季連続甲子園出場がほぼ確実になった。正式に来春のセンバツ出場が決まれば、内山にとっては4季連続となる。

「まず北信越を優勝して、神宮大会に出るというひとつの目標をクリアしましたが、次は去年準優勝だった神宮大会で優勝すること。気を引き締めてリベンジしたいし、2回戦負けだったセンバツでも勝ちたいです」

 リベンジには、奥川、山瀬のバッテリーをもってしても履正社(大阪)に敗れた夏の分も含まれるだろう。夏の準優勝後、星稜OBである松井秀喜氏は「優勝できないのが星稜。母校のそういうところも大好きです」とメッセージを送ったが、内山たちには無論、そんなつもりはない。

 今年こそは全国制覇を----秋の高校日本一を決める明治神宮大会は、11月15日に開幕予定だ。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る