ひょんなことからNZでプロ野球選手になった25歳。NPB入りの夢を追う (5ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

「この冬は、またトゥアタラでプレーしようかなと思っています。いろんなところでやってみたい......アメリカとかメキシコでもやってみたいですね。もちろん将来のことも考えないといけないんですが、不安を持ってやってしまうと野球に集中できませんし......。英語もそれなりにできるようになったので、なんとかなるとは思っているんです」

 そう話す金子にとって、野球は競技の枠を超えて、人生そのものと言っていいかもしれない。

「両親が共働きで、子どもの頃からあまりコミュニケーションがなく、うまくいっていなかったんです。極端な話、野球をしていなかったらグレていたかもしれないですね(笑)。野球をやって、いい指導者にも出会えて......もしそれがなかったらどうなっていたかわかりません。両親も最初は海外で野球をすることに反対だったのですが、ニュージーランドでプロ契約を結ぶとなったらすごく応援してくれました。そういう意味で、僕は野球のおかげでいろいろと救われているんです」

 今年も夏の甲子園は大いに盛り上がりを見せ、ここから多くの選手がプロの門を叩く。その一方で、檜舞台とまったく縁のなかった男が、片田舎の球場で今も夢を追い続けている。

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