「佐々木朗希の登板回避」問題。スカウトたちも賛否両論、リアルな声 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 パ・リーグのあるスカウトは、U-18での佐々木に注目していると言う。夏の甲子園が終わると、8月下旬から9月上旬にかけて韓国で「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」が開催される。そのメンバーが20日発表になり、佐々木も選出された。

「佐々木くんについてはいろいろ言われていますが、私たちが判断する材料は、あくまでもグラウンドでのパフォーマンスですから。U-18には万全の状態で出てくるでしょうし、ほかにもいい投手がいますから、無理な登板もないはずです。彼のボールについては、もう見なくてもわかっています。私が見たいのは、注目を一身に集める大会で、しかも国際大会で彼がどんな顔をして投げるのかなんです。楽しそうに投げてくれれば、もう安心です」

 そして、こうも言った。

「まぁ今回のことに関しては、佐々木くんもいろいろ思うところはあっただろうし、考えたと思います。この先、プロで投げることになったら、私生活のことなど、いろいろな思いを押し殺して投げなきゃいけないわけですよ。それが大人になるってことじゃないですか。人間としてひと回り成長したんじゃないかと思っています」

 そのやりとりを聞いていた別のスカウトが、こう締めてくれた。

「佐々木くんがプロに入って期待どおりの活躍をしてくれれば、『あぁ高校3年の夏のあれは英断だった!』となる。逆に活躍できなければ、『あの時、投げていれば......』となるわけです。いずれにしても、わかるのは5~10年後。そうした十字架を背負わせてしまうのはかわいそうだけど、プロで結果を出すしかない。あれだけのポテンシャルを持った選手だから、普通にやれば絶対に活躍できるはず」

 今回の佐々木の"登板回避"は、高校野球の枠を越えて社会現象にまで発展したが、それぞれの考えがあり、明確な答えはわからない。ただひとつ言えることは、佐々木がなんの不安もなく、楽しんで投げられているかということだ。はたしてU-18で佐々木はどんなピッチングを見せてくれるのだろうか。

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