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ついに小学生年代で球数制限。
野球界の未来が変わる分岐点となるか (3ページ目)

  • 粂田孝明●文 text by Kumeta Takaaki
  • 共同写真企画●撮影

 学童野球は、現在7イニングで試合を行なっている。過去5年間の全国大会のデータを見ると、7回までの平均投球数は約100球。最大投球数は135球だったため、1人50球で計算すると、最低でも3人はピッチャーが必要で、指導者の意識としては、4~5人は用意しておきたいところだ。

 現在、全国で1チーム当たりの人数が平均17.6人。その中からピッチャーを4~5人そろえるとなると、指導者への負担が大きくなる。

 お父さんコーチが多いと言われる小学生年代の指導において、その選手に合った正しい投球フォームを教えられる指導者が果たしてどれだけいるだろうか。ピッチャーの質が低下してしまえば、フォアボールが連続してしまう、ボークが頻発する、簡単に盗塁されてしまう、そんな試合が増えてしまう懸念もある。

 このような現状を踏まえての70球制限だ。ただ、"70球"はあくまで一つの指針でしかないと宗像氏は語る。

「70球という数字だけが独り歩きしてしまうのはよくありません。ピッチャーが1人で投げ切るのではなくて、複数人育ててほしいんです。指導者の意識改革が本来の目的です。勝利至上主義から、育成至上主義に移行できませんかと。勝つ喜びを知ることも大切ですが、小学生を育成することのほうがもっと大切です」

 この球数制限について、全国大会出場チームの監督からも賛成の意見が大半を占めた。昨年度優勝の多賀少年野球クラブ(滋賀県)の辻正人監督は高く評価する。

「70球制限はすごくいいことだと思います。今回の肘・肩の検診によって指導者の意識がさらに高まるはずです。勝つことよりも大事なことがあることを肌で感じています」

 さらに、大崎ジュニアドラゴン(宮城県)の岩崎文博監督も、「もともとケガをさせないように意識しているので、今回の決定は賛成とかではなく、当然のこととして受け止めています。うちはピッチャーを7人用意しています」とすでに準備万端だ。

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