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常総学院出身元プロ注目の強打者が
32歳でキックボクシングデビュー (4ページ目)

  • 永田遼太郎●文・写真 text&photo by Nagata Ryotaro

 プロに入って2、3年でクビになる選手を数多く見てきた。高校時代、勝田としのぎを削った春田剛(水戸短期大学附属高校→中日)も入団後はケガに泣き、わずか2年で現役を引退した。それだけ生き残りが厳しい世界である。当然、勝田が言うように「中途半端な人間だった」の一言で片付けられるわけがない。

「みんなが遊んでいる時に練習をしてという生活を続けてきたので、学生の頃の思い出は何もないんですよね。当時は『遊ぶことは大人になってからいくらでもできる』とか言われましたけど、若い時にしかできないこともあるわけじゃないですか。そう思っていたのが当時の自分なので、そこが甘さだったんだなって思います」

 そんな自分を断ち切るため、3年前からキックボクシングを始めた。

「スポーツで生きてきた人間だったので、どうせなら体を動かすのがいいかなと思って。その時にふと格闘技を思いついたんです」

 ジムの代表を務める初代WFCAムエタイ世界ライト級王者の桜井洋平会長とのスパーリングでは、これまで感じたことがないくらいの痛みや衝撃を感じることもあったという。同時にプロのリングに立つ怖さも徐々に感じている。

「もちろん怖さはありますよ。本当だったら、会長も今の自分の技術では試合に出させたくなかったと思うんです。昨年の6月にプロテストには受かったけど、プロとしての技術を見せられる試合ができるかって言ったらできないし、まだ体力も全然ないので......。そんななかでもこれまでお世話になった先輩が引退するということを昨年末に聞かされて、自分もそこに華を添えたいというか、試合に出る決心を固めました。自分は先輩の前の試合なので、ジムに勢いをつけるためにも絶対勝ちたいと思っているんです」

 その言葉には強い決意が込められていた。32歳という年齢のことは自分が一番わかっている。だから、キックボクシングのチャンピオンになりたいとか、K-1に出たいとか、そういう思いは一切ない。1試合1試合を懸命に戦い、その結果どこまでいけるのか......。

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