受け継がれる「甲子園の遺伝子」。
名選手たちの息子がセンバツで躍動
「早かったですね、試合が。気がついたら、もう終盤でした。緊張もせずに楽しめました。父にいい報告ができます」
2003年夏の初出場時は初戦敗退。このセンバツで福知山成美(京都)を下し、甲子園初勝利を挙げた筑陽学園(福岡)の外野手・福岡大真(たいしん/3年)は、ハキハキとそう答えた。
初戦に続き、2回戦でも2安打を放った筑陽学園の福岡大真 父・真一郎さんは樟南(鹿児島)時代に4度の甲子園を経験し、1994年の夏はエースとして準優勝を果たすなどスター球児だった。現在は筑陽学園のトレーナーを務めており、選手たちも見ている。
そんな父を持つ福岡だが、昨年秋の公式戦ではチームトップの3本塁打、13試合で16打点の大活躍。ホームランも2本は九州大会の準決勝、明治神宮大会という大切な試合で放ったもので、これには筑陽学園の江口祐司監督も「さすが2世はなにかを持っていますね」と福岡の勝負強さに一目置く。
今回のセンバツでも、そのDNAはきらめいた。福知山成美(京都)との1回戦では3打数2安打。守ってもライトとして3回にセンターの石川湧喜と交錯しそうになりながらも相手の打球をランニングキャッチしてチームを救った。
山梨学院との2回戦では「このチームではチャンスが回ってくる」という6番で、8回一死一、三塁から貴重な追加点となるタイムリーを放つなど、この試合も2安打。甲子園でハツラツとしたプレーを見せている。
父の投球は映像でしか知らない。
「球が速く、スライダーの曲がりも大きい。打者として、当時の父と対戦してみたいと思います。父によく言われるんですよ。『オレは甲子園に4回出ている。お前はこの春と、夏に出たとしても2回だけか』って。それなら準優勝だった父を、優勝という結果で超えてみせますよ」
ただ、大会前のその発言と本音は違うようで「ベスト8なんて考えていませんでした」と笑顔で語った福岡だったが、父を超えるまであと3勝だ。
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