2019.03.31

センバツで惨敗。星稜・奥川の打倒を
目標にしていた広陵の誤算

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

 2018年秋の明治神宮大会で星稜(石川)の奥川恭伸に11三振を奪われ、わずか3安打で7回コールド負け(0-9)した広陵(広島)。中井哲之監督はその試合後にこう語った。

「広陵が全国大会でコールド負けをしたということをよく考え、『あの負けがあったからセンバツで勝てた』と言えるようにしたい」

 そして迎えたセンバツ初戦の八戸学院光星(青森)戦では、先発した河野佳の完封勝ちで汚名をそそいだかと思われたが……。2回戦で東邦(愛知)に2-12という大敗を喫した。

 河野は初回に2点を奪われ、3回にも4失点。この回でマウンドを降りた。リリーフに立った石原勇輝も打たれ、7回が終わった時点で0-9。甲子園大会でなければコールド負けという一方的な展開になった。

3回に東邦の石川にホームランを浴びた広陵の河野 試合後に中井監督はこう語った。

「試合を始める前に負けてしまったような展開でした。完敗です」

 東邦の石川昂弥は強打で知られるスラッガーであり、最速143キロのストレートを持つ大会注目のピッチャーのひとりでもある。広陵打線は足を絡めて主導権を握ろうとしたが、石川に6回までわずか4安打。三塁も踏めず0点に抑えられた。8回にリリーフ投手から2点を奪ったものの、得意の競り合いには持ちこめなかった。

「河野はことごとく失投を打たれました。追い込むまでに甘い球が多くて、力のない球を打たれた。初戦がよすぎたんでしょう。これが実力です。1試合で6個も7個も盗塁されたのは初めてですね。相手は足の速い選手が多くて、思い切りもよかった。うちのやりたい野球を逆にやられてしまった」

 毎日練習を行なってきたグラウンドのスコアボードには、明治神宮大会で星稜にコールド負けした点数を残していた。あの屈辱を忘れないとの誓いを込めて。

 明治神宮大会で奥川に完璧に抑えられた後に、中井監督はこうコメントした。

「中国大会で勝つために西純矢くん(創志学園)の真っ直ぐを打つ練習をしてきたので、ストレートには対応できたんですが、131キロのフォークボールを投げられては……現時点ではお手上げです。奥川くんは変化球でストライクが取れる。ボールの速さでは西くん、ピッチングの精度では奥川くんでしょうね」