2019.03.22

平成最後の甲子園に本命ナシ。
大混戦のセンバツで優勝候補はここだ

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 本命なき大混戦――。

 昨年はドラフト1位2人を含む4人のプロ入り選手を擁した大阪桐蔭が春夏連覇を達成したが、今年は突出したチームがなく、どのチームにも優勝の可能性があると言える。

 そのなかで、優勝候補の呼び声が高いのが早くもドラフト1位確実と言われるエース・奥川恭伸(やすのぶ)を擁する星稜(石川)だ。

大会ナンバー投手の呼び声高い、星稜のエース・奥川恭伸 最速150キロの速球が注目される奥川だが、もっとも注目すべきは投手としての完成度。セイバーメトリクスに奪三振と与四球の比を表すK/BBという値があるが、奥川は昨秋の公式戦で奪三振82に対し、与四死球がわずか5でK/BBは16.4。メジャーリーグでも5を超えれば優秀といわれるが、その3倍以上の数値を残している。

 野手も1年時から中軸を打つ主砲の内山壮真、50メートル5秒9のスピードスター・東海林航介、強肩捕手の山瀬慎之助ら力のある選手が多いだけに、初優勝の期待はふくらむ。

 課題は、ビッグイニングをつくられるなど、チームとしての安定感のなさ。昨夏も済美を7回まで7対1と大量リードしていながら、奥川、内山が熱中症で足をつり途中交代するなどで逆転負け。

 秋も明治神宮大会決勝で札幌大谷相手に接戦を取りこぼした。奥川がすべて投げ切るスタイルではないだけに、昨夏の甲子園で逆転サヨナラ満塁本塁打を打たれた左腕の寺沢孝多、神宮大会で好投しながら敗戦投手になった荻原吟哉(ぎんや)ら、ほかの投手がどれだけ奮起するかにかかっていると言っても過言ではない。

 星稜を追うのが、昨秋の東海王者・東邦(愛知)、中国王者の広陵(広島)、昨年のセンバツ準優勝の智弁和歌山、さらに投打ともに充実した戦力を誇る明豊(大分)だ。

 ドラフト上位候補のスラッガー・石川昴弥(たかや)を擁する東邦は、チーム打率.386と伝統の強打が健在。とくに石川は昨秋の公式戦17試合で打率.474、7本塁打、27打点をマーク。今大会ナンバーワン打者として注目される。

 課題は投手陣。昨秋はエースと期待した左腕の植田結喜(ゆうき)が本調子ではなく、石川がマウンドに上がり孤軍奮闘した。東海大会準決勝では中京学院大中京に9回二死まで5点リードを許すなど、星稜同様、チームとしての安定感に欠けるのが心配材料だ。