筒香の喝!に続け。都立高校が野球人口減少STOPヘ異例の取り組み (2ページ目)

  • 村山博●文・写真 photo by Murayama Hiroshi

 3月5日に石神井高校のグラウンドで未経験者を含めた小学生36人を集めて、野球イベントを開催。野球部顧問の石川大貴は言う。

「野球を楽しめないのは、野球ができる環境が少なかったり、チームに所属していても出場機会に恵まれなかったり、厳しい指導に堪えられなかったり......いろいろな要因があるかと思います。せっかく始めたのだから、野球の楽しさや魅力をもっと将来ある子どもたちに感じてもらいたい。そのきっかけづくりを石神井高校野球部が手伝ないかと考え、今回のイベントを企画しました。

 野球の楽しさを伝えるイベントは各地で行なわれていますが、公立高校の野球部の取り組みとしては異例と言えるかもしれません。そこに私たちがチャレンジし、本校野球部の選手自身、ひいては高校野球界にとっても有意義な活動にしたいと思っています」

 部内でこの企画を伝えると、部員たちは快く了承し、企画の実行につながった。趣旨は、シンプルに野球を楽しんでもらうこと。子どもたちの自主性を大切にし、チームに所属している児童には技術指導は一切行なわず、思いのままにプレーしてもらった。

 イベントがスタートすると、部員の発案でゲーム要素を取り入れたウォーミングアップを開始。広いグランドを思い思いに走らせてから、キャプテンの号令で人数が示され、子どもたちがその人数分のグループをつくる。初対面同士で緊張していた子どもたちも、これで一気に打ち解けた。

 アップが終わると、低学年の児童には簡単なボール遊びやミニゲーム、高学年の児童には石神井高校の部員を交えて試合を開始。試合が始まると、グラウンドのあちこちから「ナイスバッティング」、「ナイスプレー」など、部員たちの声が飛び交う。野球の魅力を伝えるために、ひたすら盛り上げ役に徹していた。言われた子どもたちもうれしそうに、活発に動き回っていた。

 また、イベントの前後には、今回の趣旨に賛同したNEC×法政大学大学院共同開発チームによる「メディカルチェック」も行なわれた。子どもたちひとりひとりの柔軟性や筋力を計測・評価し、ケガの予防やパフォーマンスの向上を促す取り組みだ。3Dセンサーを使った測定機能に子どもたちも興味津々だった。

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