甲子園の土を踏めなかった、プロも注目する超高校級の逸材7人 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 遊撃手では、高校ナンバーワンの呼び声が高い報徳学園の小園海斗が無事に甲子園出場を決めたが、「あのショートが出ていれば......」と思ったのが、横浜隼人の横瀬辰樹(180センチ、74キロ/右投右打)。

 全国的に知名度は高くないかもしれないが、思わず唸ってしまう打球への反応の速さと、捕球から送球までの美しい身のこなし。バッティングも、咄嗟(とっさ)のバットコントロールを効かせた実戦力の高さは、超高校級と言っても過言ではないだろう。

 もうひとり遊撃手で「これは!」と思った逸材が、市岐阜商の中神拓都(なかがみ・たくと/175センチ、83キロ/右投右打)。投手としても最速146キロを誇る剛腕で、低めに伸びるストレートは高校生には攻略困難。

 とはいえ、中神の最大の魅力は、圧倒的なスイングスピードから放たれる豪快なバッティング。あっという間にフェンスを越えていく打球は、「本当に高校生か」と思うほど、強烈である。

 長打力だけでなく、50mを5秒台で走る走力も兼ね備え、投手としても一級品。大阪桐蔭のドラフト上位候補、根尾昂(あきら)との"二刀流対決"が甲子園で実現していれば......と思うのは、私だけではないはずだ。

 左打者なら、水戸商の外野手・小林俊輔(175センチ80キロ/右投左打)を挙げたい。

 ギリギリまでボールを呼び込んでおいて、強引なまでにボールを持ち上げ、雄大な放物線を描きながらスタンドに放り込む、正真正銘のアーチスト。

 中神と小林のふたりに共通するのは、フルスイングが決して"無茶振り"ではないことだ。タイミングの始動を早めに取り、長くボールを見てから全身の連動で強く振り抜く、まさにお手本のようなスイング。

 ともに高校通算50本近くの本塁打を放っており、この先も強打者として育っていくに違いない。

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