大谷翔平の兄も奮闘。都市対抗で大敗もトヨタ自動車東日本が一歩前へ

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Kyodo News

 結果から言えば、大敗である。

 7月17日、東京ドーム。第89回都市対抗野球大会において唯一の初出場チームだったトヨタ自動車東日本(金ヶ崎町)は、10年連続40回目の出場となった東芝(川崎市)に屈した。

創部7年目で都市対抗初出場を果たしたトヨタ自動車東日本のナイン創部7年目で都市対抗初出場を果たしたトヨタ自動車東日本のナイン 2012年の創部からチームを支える先発右腕の阿世知暢(あぜち・とおる)は、持ち前のシンカーを効果的に使って1回表を三者凡退に抑えた。だが2回表、先頭打者への四球を皮切りに二死二塁とピンチを迎えると、東芝の7番・小川裕生にストレートを右翼スタンドへ運ばれて2点を失った。

 さらに3回表は、東芝の主将、3番の松本幸一郎に、左翼ポール際へ飛び込む3ラン本塁打を浴びて点差を広げられる。ともに左打者に打たれたアーチを阿世知は悔いた。

「1本目はインコース狙いのストレートが真ん中に入ってしまった。2本目はカウントを悪くするなかで、ストレートがアウトコース高めへいってしまった。うまく押し込まれてしまいました」

 中盤以降も流れは変わらない。2番手として登板した右下手投げの吉橋幸治、3番手の佐々木大和、さらに、JR東日本東北からの補強選手で東京ドームのマウンドを知る左腕の西村祐太までもが、東芝の勢いを止めることができずに4回表だけで5失点。6回表は西村が単打3本を集められ、7回表には、きらやか銀行からの補強選手である小島康明が連続長打を浴び、ともに1点ずつを加えられて失点を重ねた。

 投手5人で計12失点。3失策も響いて、初の夢舞台は終わった。

「残念です。全国の壁は厚かった......」

 トヨタ東日本の三鬼賢常(みき・けんじょう)監督はそう語り、唇を噛みしめた。

 ただ、創部7年目で辿り着いた東京ドームで、選手たちは笑顔を絶やすことがなかった。

 一塁側ベンチがもっとも盛り上がったのは1回裏だ。チーム初安打となる右中間二塁打を放った2番・林竜希が起爆剤となりチャンスをつかむと、4番・北見昂之(たかゆき)のサードへ打球が内野安打となり先取点。たとえ一瞬だったかもしれないが、都市対抗の常連チームを慌てさせた。

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