「浜高の野球で勝て」。兄の想いを胸に、和田毅の弟が古豪復活に挑む (7ページ目)

  • 井上幸太●文・写真 text&photo by Inoue Kota

「技術的な部分はもちろん、練習に取り組む姿勢やマイナスの出来事を力に変えていく精神面も含めて、『こういうチームなら甲子園に行けるんだろうな』と思えたチームでした。でもこちらの想定していた以上のことが起こっての初戦敗退。さっきのすごろくの話ではないですけど、ゴール直前に『ふりだしに戻る』になったような......。野球の難しさを実感した夏でした」

 松江商高時代に秋、春の優勝は経験したものの、夏は4強進出が監督としての最高成績。最後の甲子園出場を果たした2004年以降、5度の夏4強進出を果たしながら、「準決勝の壁」に跳ね返されている浜田高と重なる部分でもある。「あと2つ」の壁を乗り越えるにあたって何が必要になってくるのだろうか。

「極端な言い方をすると、高校野球の夏は、秋と春とは別競技と言ってもいいぐらいの違いがあると思うんです。体力的、精神的にも疲労を感じてくる準決勝、決勝で『よし!ここからだ!』と踏ん張れるか。技術力に加えて、一戦必勝の姿勢を保ちながらも、先を見据えた戦い方をすることができる体力や気力を培っていければ越えられるんじゃないかと思っています」
 
"松坂世代"にあたる兄・毅。世代の象徴である松坂大輔や球界屈指のスラッガーとして名を馳せた村田修一が移籍先を模索しているなど、年齢による衰えが目立つ同世代の選手も少なくない。そんななか、今もなお先発ローテーションの一角として奮闘する兄の姿は弟の目にどう映っているのか。

「身内の自分からしても『まさかここまでの選手になるとは......』というのが正直な気持ちでした。プロに進んでからは完全に『ひとりのファン』というような目線で見ていて、本当に応援することしかできないんですけど。やっぱり兄貴には1年でも長く現役を続けてほしいと思っています」

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