2017.09.06

「イチローの恋人」が宝塚ボーイズで
教える、野球よりも大切なこと

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Sportiva

シリーズ・部活の現場に行ってみた!(5)
宝塚ボーイズの人材育成法

 中学生の野球は、1990年代頃から一気に学校外のクラブチームでプレーする選手の割合が増えた。シニア、ボーイズ、ヤング、ポニーなどといった、いわゆる硬式のクラブチームの活動が盛んになったからだ。学校とは別のコミュニティに参加しての活動。部活とは違った環境のなかで、様々な経験を積むことになる。まず、入り口となるのがチーム選びだ。

「実際に練習を見て、できれば体験練習にも参加して、チームの雰囲気を感じて自分で決めてほしい」

 そう話すのは、兵庫県で活動する宝塚ボーイズ(日本少年野球連盟、通称:ボーイズリーグ)の奥村幸治監督だ。「自分で納得して決めれば、苦しい場面でも頑張りがきく」と決断することの大切さを語った。

宝塚ボーイズを率いて19年目を迎える奥村幸治監督(写真右) 宝塚ボーイズの創設は1999年4月(当時の名称はドリームファイターズ)。奥村監督は高校卒業後、プロ野球選手になる夢を追い、何球団ものテストを受けるなかでオリックスから打撃投手として採用された。

 1994年にシーズン210安打を放ったイチローの打撃投手を務め、マスコミからは”イチローの恋人”と呼ばれていた。その後、プロ挑戦の夢をあきらめ、しばらく中学野球の指導に関わったことがきっかけで、宝塚ボーイズを立ち上げた。

 部員9名からスタートしたチームは、今年で19年目を迎えた。活動日は火、木、金、土、日で、兵庫、大阪を中心とした30前後の中学校から選手が集まっている。平日の練習は夕方から行なわれ、グラウンドに着いた者から道具出し、アップ、各自の課題練習と流れる。これらを黙々とこなす選手たちの姿は中学生離れしており、普段からの取り組みが伝わってくる。