名コーチ・小倉さんが比べる、松井秀喜、筒香嘉智、そして清宮幸太郎 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Jiji photo

──過去に対戦したなかで、攻略するのが難しかったピッチャーはいますか。

小倉 松坂大輔のとき(1998年)、日大藤沢にいた館山昌平(東京ヤクルトスワローズ)、鹿児島実業の杉内俊哉(読売ジャイアンツ)のことはよく覚えています。最近だと、桐光学園の松井裕樹(東北楽天イーグルス)はやっかいでしたね。松井が2年生のとき、あそこにはいいキャッチャーがいて、ワンバウンドになる縦スラを全部捕ってたんだけど、3年になったときにはキャッチャーがその球を捕れないもんだから、投げられなくなっちゃった。ピッチャーだけではなくて、バッテリーでセットとして見ます。

──松井攻略のために、どのようなことをしましたか。

小倉 松井の投球には打てる球と打てない球があるんですが、打てない球はいくら頑張っても打てない。打てる球は何かといえば、まっすぐです。あの縦スラを「きれいに打て」なんてことは高校生に要求できません。縦スラがひざのところに来たら全部ボールになるから「見逃せ、振るなよ」と指示しました。でも、ツーストライクになったら振らないといけないから、「バットを立ててファウルにしろ」と言いましたね。実際に、そのための練習もしました。

──神奈川大会ではありませんが、今年は3年生になった早稲田実業の清宮幸太郎が最後の夏ということで、注目が集まっています。清宮攻略法はありますか。

小倉 あれだけホームランを打つというのはスイングスピードが速い証拠。以前は左の手が強すぎて、ラインドライブがかかる打球が多かったんだけど、だいぶ右手をうまく使って打てるようになってきたから、打球が伸びています。そこに成長の跡が見えます。

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