高校野球の名コーチ・小倉元部長に聞く「夏の神奈川大会はこうなる」 (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

――横浜と東海大相模の戦力を比較したら?

小倉 正直言って、五分五分です。キャッチャーは横浜のほうが、肩やリードはいい。横浜に大きな欠点はありません。2番から4番までいいバッターが揃っています。特に3番の齊藤大輝(2年)、4番の増田珠(3年)はいい。ここは横浜のほうが上かもしれない。

 とはいえ最近は、健大高崎に代表されるように、足を使った奇襲作戦をするチームが増えて、そういうのが高校野球の流行りになっています。たとえば、ランナー1、3塁でピッチャーが左のとき、1塁ランナーがわざと挟まれている間にホームを狙うとか、ランナー2、3塁で、セカンドに牽制球を投げさせてホームに帰ってくるとか。

 そういう奇襲に対して備えておかないと、やられたほうは1点が2点にも3点にも感じてしまう。そういう失点はショックが大きいんですね。今年は神奈川大会の上位対戦でも、どこかでそういうプレーがあるんじゃないかと思っています。ランナーがいても座ったままでピッチャーに返球するキャッチャーが目立つので、ディレードスティールが増えるのではないと見ています。

 神奈川の2強として知られる、横浜と東海大相模。小倉元部長の見立ても、ズバリその両校の優位を断言した。しかし、何が起きるかわからないのが高校野球。順当にいけば決勝で対戦することになる両校だが、シード通りに勝ち進む保証はどこにもない。今夏の神奈川大会では、はたしてどのようなドラマが待っているだろうか。


小倉清一郎(おぐら きよいちろう)
1944年、神奈川県横浜市生まれ。77年から横浜高校野球部監督、78年から横浜商業コーチ。90年から2014年まで、横浜高校のコーチ、部長を歴任。独自のメソッドと徹底した分析力で松坂大輔、涌井秀章、筒香嘉智らを育てた。甲子園出場春夏通算32回、うち優勝3回。著書に『参謀の甲子園 横浜高校 常勝の「虎の巻」』(講談社+α文庫)など。

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