この夏の甲子園は「因縁の対決」が例年以上に目白押し! (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

 その横浜と甲子園で数々の名勝負を演じてきたのが明徳義塾。横浜の春夏連覇がかかった1998年夏は、準決勝で対戦。この試合で横浜のエース・松坂大輔(現・インディアンス3A)は前日に延長17回をひとりで投げ抜いた影響で先発せず。試合は8回表まで明徳義塾が6点のリードを奪うなど一方的な展開となったが、そこから横浜が自力を発揮。8回裏に4点を還されると、9回裏にも3点を献上し、大逆転負けを喫した。また、2003年の春は2回戦で対戦し、横浜のエース・成瀬善久(現・ロッテ)から4点を奪うも、延長12回の末に4-8で敗れた。さらに2004年夏は3回戦で対戦。明徳義塾は当時・1年生だった中田亮二(現・中日)が横浜の涌井秀章(現・西武)から本塁打を放つも、5-7で惜敗。明徳義塾の馬淵史朗監督にしてみればいずれも接戦での3連敗だけに、何としても雪辱を果たしたいところだ。

 センバツ優勝の浦和学院(埼玉)には、春に敗れた北照(南北海道)、済美(愛媛)が再戦を待ち望んでいる。特に決勝で対戦した済美のエース・安樂智大は、連投の影響もあって本調子とはほど遠い内容で1-17と屈辱的な敗戦を喫しただけに、「もう一度」との思いが強い。この夏、安樂は最速157キロを投げるまで成長し、変化球も巧みに使うなど、緩急をつける投球ができるようになった。「打倒・浦学」に向けて準備は整った。

 この他、選手に目を向けると、聖光学院(福島)の園部聡と常総学院(茨城)の内田靖人は中学時代、福島・いわき松風クラブでクリーンアップを組んでいた仲。高校通算57本塁打の園部に対し、内田は通算33本塁打。ともにプロ注目のスラッガーとして期待を集めているだけに、対戦が実現すればスカウトたちも熱視線を送るだろう。

 また、ともに2年生ながらエースとして活躍する横浜の左腕・伊藤将司と木更津総合の右腕・千葉貴央は、中学時代にKボールのオール山武と船橋ポートジュニアのエースとして投げ合っている。その時は伊藤に軍配が上がったが、千葉が甲子園でリベンジを果たすことができるのか注目だ。

 これ以外にも、かつて甲子園で対戦したり、練習試合で対戦しているチームが多く、見どころはいっぱいある。組み合わせも、昨年までは3回戦までやぐらが出来上がっていたが、今大会は回戦ごとに次の対戦相手を決める「全試合抽選」が19年ぶりに復活。これによって2戦目以降は直前まで対戦相手が決まらず、見る側としては楽しみがひとつ増えた。本命なき大混戦が予想される今夏の甲子園。新たにどんなドラマが生まれるのか楽しみだ。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る