【高校野球】プロスカウトが見たセンバツ。「ドラフトの目玉はコイツだ!」

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

投手だけでなく、打者としてもドラフト1位候補になるとスカウトたちが絶賛する花巻東の大谷翔平投手だけでなく、打者としてもドラフト1位候補になるとスカウトたちが絶賛する花巻東の大谷翔平 大谷翔平(花巻東)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭)、濱田達郎(愛工大名電)の「高校ビッグ3」に注目が集まった第84回センバツ高校野球大会。前評判通り、スカウト陣の評価も3人に集中した。

 なかでも、最も高い評価を得たのが大谷だ。藤浪との投げ合いとなった大阪桐蔭戦は11四死球と乱れて初戦敗退したが、最速148キロを記録し11奪三振。潜在能力の高さを見せつけた。

「左足の故障の影響か、インステップが原因か、左足に乗りきらない投球だった。それでも体のバランスはいいし、柔らかさの中にも強さがある。将来性を考えれば3人の中では断トツでしょう」(パ・リーグスカウト)

 大谷は打っても藤浪のスライダーをとらえて本塁打を記録。投手としても、打者としてもドラフト1位レベルというのも人気の理由だ。

「高校生のホームランはライナーが多いけど、大谷は美しい放物線を描く。高校生離れした打球だね。藤浪のストレートを待ってスライダーを打てる二枚腰。こういうのは練習してできるものではない。あとはプロの球に慣れるだけですぐに使える」(パ・リーグスカウト)

 一方、藤浪は花巻東戦で最速150キロをマークして12三振を奪うなど、大舞台で力を発揮して評価を上げた。

「見るたびに成長している。腕を振る力は確実についている。個人的にはナンバーワン。当然、1位でしょう」(セ・リーグスカウト)

「手も大きくて腕が長いからフィニッシュに力がある」(パ・リーグスカウト)

 そして今大会、最も評価を上げたのが濱田。最速147キロを誇る濱田だが、初戦の宮崎西戦ではコントロールを重視し、130キロ中盤のストレートで勝負。それでも14三振を奪い、無四球完封。投球の幅の広さをアピールした。

「左であの体格(183センチ、88キロ)。140キロを超えるし、コントロールもある。そんな投手はなかなかいないでしょう。相手を見て球種制限もできる。完成度が高いし、(1位の)12人に入ってくるだろうね」(パ・リーグスカウト)

「コントロールがいいし、彼が自滅した試合を見たことがない。力といい感性といい、勝てる投手という意味では今年の高校生では群を抜いていますね」(セ・リーグスカウト)

 このまま順調にいけば、ビッグ3は3人ともドラフト1位で指名されることが濃厚だ。

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