藤浪晋太郎が語るメジャー1年目の今「カメラに追い回されることもなく、ストレスフリーで野球に向き合えている」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Taguchi Yukihito

── 以前、オフにアメリカでトレーニングをした時、藤浪さんは「ピュアに野球に向き合える感覚を久しぶりに思い出した」と話していました。今、ピュアに野球に向き合えている感覚はありますか。

藤浪 シンプルに野球ができているかな、と思います。日本と違ってメディアも少ないですし、そこまで注目度もあるわけじゃない。こっちで自分のことが報道されることはほとんどありませんし、カメラに追いかけ回されることもなく、ストレスフリーな感じで野球に向き合っています。

【藤浪晋太郎像をリセットしたかった】

── メジャーでやってみたいと思ったきっかけは何だったんですか。

藤浪 もともと高校からプロに入った時、しっかりと活躍して、いずれは行ってみたいなとは思っていたんですが、ダルビッシュさんと一緒に自主トレをさせてもらったり、いろんな方に「環境を変えて挑戦してみたら」と言ってもらうことが多くて、だんだん気持ちがそちらへ傾いていきました。

── 藤浪さんのなかに"変えたい環境"というものがあったとしたら、何をリセットしたかったのでしょう。

藤浪 うーん、難しいですね......一番は"藤浪晋太郎像"をリセットしたかったのかもしれません。おそらくタイガースで投げていたら、よほどのものを見せない限りは一軍半のピッチャーだったと思うんです。一軍で投げていてもローテーションの谷間でポッと投げたり、中継ぎや敗戦処理で投げたり、そういうピッチャーでしかいられなかったでしょう。そういうみんなが思う自分に対する評価をパッとリセットできるとしたら、球団を変えるか、アメリカでプレーするしかなかったのかな......というところはありました。

── それは周りの先入観と藤浪さんのなかにあった手応えとの間にギャップがあったということなんでしょうか。

藤浪 めちゃくちゃギャップがあったわけではないんですが、ある程度はよくなっているのかなという自分の感覚のなかで、そうした先入観はやっぱり覆せないなと思ったので、変えたかったとしたら環境よりも評価だったんでしょう。タイガースの投手陣も充実していましたし、自分が年間を通してローテーションに定着するのは厳しいだろうなと思っていましたからね。

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