【自転車】国内ロードレースがビジネスとして成功するためには?
遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第70回】
国内ロードレース選手権「Jプロツアー」で個人・チーム両部門での総合優勝を目指しつつ、来シーズン以降のチーム作りのためにシーズン中も精力的に動き回っているTeamUKYO監督の片山右京。チームの戦力をアップするうえで欠かせないスポンサーの存在について、どのような考えを持っているのか。日本の自転車ロードレース界が抱える課題など、チームトップとしての視点を聞いた。
TeamUKYOのクルマにペイントされたチームを支えるスポンサーのロゴ「僕には『これは無理だ......』と思うことがないんですよ」
そういって片山右京は笑う。
「積み重ねていくのに時間がかかるな、とか、ちょっと遠回りしているなと思うことはあるけれども、たとえ少しずつであったとしても、前に進んでいるし、目標には近づいている。『ツール・ド・フランスに行く』という目標は、『どうやったらF1に行けるんだろう』『エベレストに登るためにはどうすればいいんだろう』『パリダカにどうやって出ようか』というようなことと、僕にとってはなんら変わりがない。
自分の頭のなかに描いている勝手なイメージでは、広大な土地にチームの選手宿舎があって、駐車場にはトレーラーやチームバスがずらりと並んでいて、日本人選手や外国人選手がそこでトレーニングをしていて、日本でもサイクルロードレースがテレビ中継されていて、チームの事業もビジネスとしてきちんと回っている......という、そういう姿なんですが、そこに到達するためには、『ちょっと時間は長くかかりますけどね』とか、『最初のうちは、とても小さな規模なんですけどね』という、あくまでそういうことであってね。そういう意味では、たぶんナポレオンと同じで、『不可能という文字はない』んですよ」
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プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。