【自転車】片山右京「チーム初の欧州レースで得られるもの」 (2ページ目)

  • 西村章●構成・文・写真 text & photo by Nishimura Akira

 今回のTeamUKYOの遠征メンバーは、リカルド・ガルシアとホセ・ビセンテ・トリビオ、狩野智也、土井雪広、窪木一茂、平井栄一、住吉宏太という顔ぶれだ。狩野と土井は、欧州での経験が豊富であることは、当連載で何度も言及してきたとおりだ。

 また、スペイン出身のリカルドとホセにとって、今回の遠征は、むしろホームグランドに戻ってレースをするといったほうが妥当だろう。

 スペインで行なわれる「ビアフランカ・オルディシアコ」は1922年の初開催以来、連綿と続いてきた伝統のあるレースだ。リカルドは昨年まで、スペイン・バスク地方の名門チーム「エウスカルテル・エウスカディ」に所属していたが、当時このレースに参戦して完走を果たしている。ホセもTeamUKYOに加入する前は、2年前までスペインのプロコンチネンタルチーム「アンダルシア」に所属しており、2012年にはこのレースで36位という上位フィニッシュの成績を残している。またホセは、アンダルシア時代の2011年に「ボルタ・ア・ポルトガル」でステージ優勝も達成している。

 経験豊富なTeamUKYOの選手たちが、欧州の選手たちの中でどれくらい自分たちの走りを披露できるのか。そして、彼ら先輩ライダーとともにトレイン(車列)を組む窪木や平井、住吉たち若手選手が、どれだけのものを吸収して帰ってくるのか。

 監督の片山も、これらのレースに帯同する。しかし、レースそのものの指揮以外にも、片山には重要な任務がある。

 それは、欧州で活動していくための、「拠点づくり」だ。

 片山は、欧州で恒常的にレース活動を行なえるチーム体制を目指している。具体的には、プロコンチネンタルチームとして登録できるだけの実力と規模を備えた組織づくりだ。

 そのためには、欧州にも拠点を持っていることが必須となる。選手とスタッフが活動していくためのオフィス、合宿所、チームのワークショップ等々......。決めなければならないことは、山のようにある。もちろん、今回の遠征ですべてを一度に即決するわけではない。ただ、現場に行って候補地を自分の目で確認し、それまでメールや電話でしか話したことのなかった人々と直接、顔を突き合わせて様々な物事をクリアしていくためには、今回の欧州遠征は貴重な機会だ。

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