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【新車のツボ140】シボレー・コルベット、
神様スポーツカーはアメリカにあり! (3ページ目)

  • 佐野弘宗●取材・文・写真 text & photo by Sano Hiromune

 これによって普通はフロントヘビーになりがちなFRにもかかわらず、コルベットの前後重量配分はわずかなリアヘビーなのだ。

 さらに、巨大なV8エンジンも、びっくりするくらい低く、そして運転席側にメリ込むくらい後ろ側に寄せられて搭載される。そのV8エンジンも"OHV"という、ちょっとしたマニアなら「古臭い!」と誤解しそうなメカニズムなのだが、じつはこれもエンジンを低重心化するのに理想的な構造なのだ。

 つまり、コルベットの全身は"低重心"と"前後重量配分"というスポーツカーの正義を突き詰めたツボに満たされているわけだ。

 そんなコルベットは、実際にも曲がりはじめればクルクルと素晴らしく俊敏かつ超正確に旋回しつつ、アクセルを踏めばドシッと後輪に荷重がかかってロケットのように加速する。本来はZ06用のワイドボディに自然吸気エンジンを積んだグランスポーツは、そもそもエンジンよりシャシーが勝っているのでサスペンションは意外に柔らかい。それでも前後左右にムダな動きがまったく出ないのは、地を這うように低重心で、前後重量配分がドンピシャで、ボディやサスペンションが超絶に高精度につくられているからだ。

 自慢のV8エンジンの歯ごたえも、ただピュンピュン回るだけの軽薄なそれではなく、ある種重厚なタメをともないながら、最後は絞り出すようにカン高いサウンドで、ズッバーンと回り切る。これぞモノホンの高性能エンジンである。

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