【新車のツボ109】
ホンダ・ジェイド試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 ミニバンも十数年前までは"猫も杓子も"の大ブーム商品だった。当時は各メーカー入り乱れて激アツの販売競争を繰りひろげており、ビッグからスモール、背高から背低までサイズはいろいろ、さらにあるものは高級車だったり、あるものは不可思議なシートレイアウトだったり、あるいはスポーツカーみたいだったり......と、個性的なミニバンが多数存在していた。

  ホンダのミニバンで歴史がもっとも長く知名度が高いオデッセイは、地を這うように背が低かった4代目(第24回参照)から一転して、現行5代目はスライドドアで背の高いワンボックス型になった。ブームが去った現在のミニバンはすっかり日用品グルマが主流で、とにかく広いワンボックス型以外はほぼ淘汰されてしまった。オデッセイも生き残るためには、そうするしかなかったのだろう。

 かつては多種多様なミニバンを手がけていたホンダは、このオデッセイの転身にあわせて、密かにミニバンを車種整理した。というわけで、現在ホンダが国内販売するミニバンは全部で4車種と、ずいぶんスッキリしている。日用品ミニバンとしてフリードとステップワゴンがあり、そして上級ミニバンとして、オデッセイに加えて、この新型ジェイドが新しいツートップ......という布陣である。

 ジェイドは商売上では"4代目オデッセイと、その弟分だったストリームの統合後継車"という位置づけだが、スタイリングや性能レベルは、今はなき4代目オデッセイの再来そのものといっていい。

 特徴的な低全高は、わずかながらも4代目オデッセイよりさらに低い。サードシートは明らかに子供用あるいは大人なら短距離用と割り切っている。そのぶんセカンドシートをあえて2脚独立タイプとして「3列目はメチャせまいけど、2列目は贅沢に広い」という室内思想は今ある実用ミニバンとは一線を画す。この点が4代目オデッセイ(は大人7人がしっかり座れた)と新しいジェイドの大きく異なるツボである。

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