【新車のツボ71】マツダCX-5試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 マツダCX-5は一昨年と昨年の2年連続で"日本でいちばん売れたSUV"となった。CX-5が売れている最大の理由は、日本ではなじみのなかった(しかし、欧州では超絶人気の)最新ディーゼルエンジンを積んでいることだ。CX-5の最新ディーゼルは昔のイメージとは正反対。お世辞や誇張はいっさいぬきに"メチャ速、ビックリするくらい静か、ガソリンエンジンに引けを取らないクリーン"である。ちなみにCX-5にはガソリンエンジンが2機種とディーゼルエンジンが1機種あるが、販売全体の75%がディーゼルだという。

 こうして一般ユーザーにも大人気のCX-5だが、同時に昔ながらの頑固気質をもつマニアや、口うるさい専門家にも好評なのが特徴であり、最大のツボといってよい。それは単に「日本では知る人ぞ知る存在だったディーゼルを根づかせた」という社会的意義だけでなく、走りがステキな味わいだからだ。「クルマは走ってナンボだろがっ!」という純粋なクルマバカのツボも、CX-5はドンズバに突く。

 CX-5は広告などでも盛んにアピールしている通り"スカイアクティブ・テクノロジー(以下スカイアクティブ)"という、マツダがゼロから新開発した要素技術の集大成である。

 スカイアクティブは「小さな規模と台数でも単独資本で生きていく」と決意したマツダが社運をかけて開発した技術群で、エンジン本体、クルマの根幹となるエンジンルーム設計、車体構造、サスペンション、ドライビングポジション、シート......などのクルマの基本部分を、ボディサイズやジャンルを問わずに、マツダが考える"理想のクルマ像"に出来上がるようにした設計である。

 CX-5はそんなスカイアクティブ車の第1号で、その後のアテンザやアクセラも同じく全身スカイアクティブで構成されており、カタチや大きさはそれぞれ異なるが、エンジンの感触はもちろん、ドライビングポジションがピタリと決まる人間工学や、乗り味の根幹......というか、走りのリズムのようなものはどれも酷似する。

 スカイアクティブは共通の根幹技術をブロックを組み合わせるように構築しているので、ある時点で基本部分が改良されると、同じスカイアクティブなら、どのクルマでも速やかに改良できるのが強みでもある。CX-5も発売から2年半ほど経つが、現在売られている最新モデルには、その後のアテンザやアクセラで採用された技術もすでに入っている。

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